めろこの旅日誌

公開

私はずっと、仲間が欲しかった。




最初の印象は、「気の弱い人」だった。

私の一つの夢を叶えてくれた、大切な相棒の話をします。



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私の初心者時代は、とても寂しい思い出ばかりでした。

一番最初に入ったギルドは、今思えばストラスの大手ギルド。
右も左もわからずに、メインストーリーの指示通りに加入したはいいけれど、
チャットで何の会話をしているか全くわからなくて。
最初の挨拶をしたっきり、黙って皆の会話を眺めていたら、
次の日にはあっさりギルドを蹴られていた。

「私が初心者だからいけないのか。」
「早く強くなりたい」
当時は、そんな事をずっと言っていました。

身の丈に合った初心者ギルドに加入しても、
基本的にまったりなこのゲームでは、
血の気の多い私はどこに行っても、同じ温度で遊べる人に出会えなくて。

色んな人に聞いて回りました。
「早く強くなるには、どうしたらいいのか?」

みんな優しく教えてくれました。
「ゆっくりでいいんだよ」
「自分のペースで遊ぶものだよ」
でも、私の欲しい答えはそうじゃなかった。




基本放置の、初めてのスマホゲー。
MMO全盛期育ちとしては、もっともっとガチガチでやりたかった。
…でも、違うのかも。時代は変わってしまったのかも。
そして、私も順応しなきゃいけないのかもしれない。


そんな事を思っていた、クリスマスイベントのゲリスク。
ふと目に留まったワルチャを見つけて、
特にあまり深く考えずに、とあるギルドに加入した。

『始めて二週間の初心者ですが、ギルドを立ち上げました。
 同じ時期に始めた人一緒に遊びませんか(^^)/』

後の、デュエルで長い事トップを走った彼の、初心者時代である。

私は、彼の一人目のギルドメンバーになりました。





それからというもの、
初心者同士なりに色々試行錯誤しながら強敵を倒したり、
クリア出来ないストーリーの情報交換をしたり。
ちょっとずつギルドメンバーも増えて、賑やかになって行きました。

はじめてのエニグマに挑戦した時は、
殆どのキャラが☆3や☆4で、
誇張表現なしで、Ⅰの中ボスを倒すのにも1体2時間くらいかかったり。笑
「もう無理だよ、つらすぎる」と弱音を吐いた私に
「キャラが尽きるまでやるぞ」と言い放った鬼軍曹マスターのトラウマを私は忘れないw

やっとの事でイモムシに到達しても、みんなキャラバンレベル17前後。
黒煙一発でキャラバン本体が落ちる。
悔しくて悔しくて、愚痴日誌を書いた事を覚えています。笑






ただ、当時、彼がやりたかったのは「初心者ギルド」。
私は上に書いたように、早く強くなりたい精神ガチ勢だったので、
たまに上手く噛み合わない事があって。

ギルドで協力イベントがある時に、協力してくれない人がいるのが凄く嫌だった。
スマホゲーだから仕方ない、そんな風に言う人もいるけれど、
私は、同じギルドで活動するなら、きちんとした「仲間」が欲しかった。

そんな日頃の噛み合わなさや、
もう一人、同じ時期に一緒に遊んでいた友達が引退してしまって、
そのショックで彼のギルドを抜けて、
ふらふらと友達に誘われたギルドに入った。

抜けた後にささやきが来たけれど、あまり何を喋ったか覚えていない。
ただ、引き留めてくれなかった事だけは覚えてた。

ぼんやりした会話をしたままチャットが途切れて、
そこから数か月、疎遠になった。



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私は凄く、わがままで。
協力コンテンツが凄く苦手だったんです。

初期の頃からデュエルが好きだったという珍しいタイプで、
好きなキャラを早く育てたいがために、
討滅やエニグマ、勢力戦に必要なキャラを全く育成していなかった。

ただ、じゃあ今からその必要なキャラを育てた所で、
強い人達はもう限界突破37とかの適性キャラを既に持ってる。

「今更新しくキャラを育てて、何か意味あるの?」
「貢献できるまで、一体どれだけのお金と時間がかかるの?」
「どうせ私が何やっても、変わらないじゃん。」

自分が居ても居なくても、クリア出来る協力コンテンツ。
言われた通りPTを編成して、わけもわからず豪華な報酬だけ貰って。
イベントや門番も、みんな優しいからクリアさせてくれるけど。

達成感が無かった。
自分が強くなった実感を得られなかった。

エニグマで「フィロ残ってる人いない?」って聞かれて、
私の武器もない、ルーンも貼ってないフィロはいたけれど
「残ってます」だなんて、怖くて言い出せなかった。

それが役に立つのか、迷惑なのか、求められてるものなのか、そうでないのか。
私は色々とゲームを知らないまま、
中途半端に一部のキャラだけが育ってしまっていた。





つまらないな、楽しくないなって。
その頃からずっと遊び方がわからなくなっていた。









そんな時、私の主力の一人がスキル調整で色々あったりして、
普段から楽しく遊べてないし、運営の方針にも納得できないし、
「こんな思いするならもう辞めてやろう」って
物凄くヒステリックになった時期があった。

ただ、今仲良くしてくれているギルドの人達がいると
ずるずると続けてしまいそうな気がしたから
『半引退』って形で、こっそりギルドを抜ける事にした。

もういつ辞めてもいいように、なんて。











一人ギルドを作って、運営の悪口ばかりのツイッターを書いていたら、
初心者の頃に拾ってくれた当時のギルマスが、ツイートを見つけてリプをくれた。

「俺ももう半引退みたいな感じになるし、どうせならうち来る?w」

あんな完全に愚痴ばかりのメンヘラツイッター見てたら
まず寄り付かないのが普通だと思うのに、一体、当時彼は何を思ったのか。笑





こんな軽いノリで始まったのが
後の、ギルド『放置マン』である。(名前クソだせえ。)



そこから、私達の良くわからない二人ギルド生活が始まった。











久しぶりに会った彼は、わけわからんくらいに強くなっていて
40まで限界突破したキャラが何体も並んでいた。

「めろこが居なくなって寂しくて、
 一人でエニグマクリアしてやるwって思ってめっちゃ課金したw」
と言われた時は少し心がチクっとしたけれど、笑

いつの間にかデュエルで上位常連になっていた彼に、
あれやこれやと質問したり。 
ギルドデュエルでボコボコにされたり、
お互いの試合を共有して、意見を言い合ったり。

みんながデュエル用に人権キャラを育てている中で、
今時誰も入れてないような、私の大好きなキャラを使い続けてる事も
一度も馬鹿にせず、笑わずに。
真剣に付き合ってくれたのが私は嬉しかった。

苦手で苦手で、負けたら泣いてしまうくらいの勢力戦も、
彼について行って戦闘を見せて貰ったり、デッキの作り方を教えて貰ったり。
水着を持ってない猛暑勢力戦が嫌すぎて、ソロでやりたいって言った時も
その気持ちを否定せず送り出してくれて、
終わったらちゃんとギルドに戻してくれたり。





正直、彼はこんだけ色々なキャラが育っているなら、
なんでも一人で出来ちゃうんだろうなと思っていたけれど、
実は結構そうでもなかったみたいで。



討滅では、一人で最上級をやってた彼と一緒に、
色々調べたり、挑戦したりして、
最終的には二人で覇王wやりだしたり。

普通は3人でやるような強敵クエストを、
やっぱり何時間もかけながら2人でクリアして、
深夜に二人で喜んだりしたり。

少しずつ、少しずつ。
一緒にゲーム出来る人がいるっていいなって。
オマケとしてじゃなくて、ちゃんと弱い私にも役割をくれる彼に、
私も何か…出来る事はないのかなって。







2人ギルドになって、初めてのエニグマ。

「エニグマどうしようか?
 どこかのギルドに期間中だけ混ぜて貰う?」

そんな事を聞いた時の彼の答えはこうだった。

「2人でどこまで行けるかやってみるか」
「やるからにはⅢクリア目指すぞ」

「…は?w」








最初は正直、そんな事出来るわけないって思ってたんです。

だって、20人でやるコンテンツだよ。
いくら重課金者2人だと言っても、2人は流石に無理だって。

そんなふうに思ってたんです。






1回目の開催では、エニグマⅡのイモムシ討伐と、Ⅲの中ボスを数匹まで。
2回目の開催では、エニグマⅢの中ボス制覇まで。

気合と根性でやり遂げたトータル10時間以上。
「今度はⅢイモムシまでやりきるぞ!!」
って話をしていた時に、
彼からリアルの関係での引退の話と、部隊解散の話がありました。

3回目の今回は、ラストチャンスだったんです。











必ず足りなくなるヒーラーは、ビーストを育てて代用してみたり。
前回のエニグマを全て動画に撮影して、敵の傾向と対策を練ったり。
60キャラ全てを予め割り振りして、無駄がないようにしたり。
旅日誌に公開されてるエニグマの攻略を片っ端から読んで、
それらのデータをGoogleスプレッドシートを共有して、作戦を考えて。

初心者の頃は、強くなった実感が無かった。
誰の役にも立っている気がしなかった。

いてもいなくても変わらない、
チャットも少なくて、キャラもたいして強くない、
どこのギルドでも空気だった私を
拾い上げて認めてくれた彼と一緒に、最後の夢を叶えたかった。





途中、私の指揮がまずくてキャラを死なせてしまったり、
落ち込んで自分を責めてる私にも
「俺も悪かったよ」だなんて、絶対に責めないでいてくれる。
怒られた事、なかったよ。認めてくれた事しかなかったよ。

性格キツくてコミュニケーション上手くできない私の話も
いっつもきちんと聞いて返事してくれるの、嬉しかったよ。

ⅠⅡは私が多めにキャラを使って、
最後のイモムシⅢでは彼に担当をして貰う事になったんだけど、

私の我儘で
「もう弱いキャラしかいないけど、
 どうしても最後に立ち合いたい」って言って待ってたら

「次だ、トドメさすぞ」

「一緒に行こう」

そう言ってくれた時、わたし、このゲーム辞めないでいて良かったと思ったよ。









ネットゲームの引退は、その人が死んでしまうのと同義で。

同じ環境で遊ばなくなったら、二度と会う方法も無い。
そりゃ、今どきなら、ツイッターで交流を続けたり、
リアルでオフ会をしたりして、ずっと続いていく関係もあるのかもしれないけれど。

私も彼も、そういうのは得意じゃないから。
私達の冒険は、ここでおしまい。





私はずっと、仲間が欲しかった。

彼は私を呼ぶ時に「相棒」と言ってくれた。



誰とも仲良くなれずに悲しかった初心者の頃の私は、
たまたま同じ時期に偶然出会った、
気の弱そうな、でも絶対に諦めない、心の強い彼に救われました。



こんな一期一会の、ネットゲームの世界。
私は、彼の素性も、顔も、声すら知らない。

だから「また」なんて、ないのかもしれないけれど。





いままでありがとう。

「また」、どこかで。





めろこ

コメント

26

めろこ

ID: zsz5pjfu6ftt

>> 25
>クガンガクさん
こんにちは!こちらでははじめまして。
くがさんのお名前、カタカナが正しい表記だったんですね。

コラプ、なんかクールにクリアした素振りを見せましたが(?)
じつは、実際は物凄い事になってました。笑
喋ってるのはわたしだけですが、
今度VC付きでYoutubeにでもアップしようと思います。

彼、不思議な人ですよね。
私も未だにどんな人なのか良くわかっていません。笑

読んでくださって有難うございます。
暇してるので、またいつでも呼んでください~。

27

積極的

バレンシルド

ID: gb9fw3zmats7

私もキャラスト大大好きです!
相棒と呼ばれるなんていいなあと思いました。
私には一人恩人がいるんですが、相棒というより風来坊兄さんみたいな感じです(〃艸〃)。

28

めろこ

ID: zsz5pjfu6ftt

>> 27
>バレンシルドさん
読んで下さって有難う御座います。
素敵な人に出会えると、ゲームの見える景色も全然違ってきますよね。
風来坊兄さん。笑 さすらう感じなのかな(?)

今はまだ気持ちの整理がついてないですが、
ゆっくり新しい環境に慣れていこうと思います。
有難うございました。

29

kyon._.

ID: jzcunp3ek86d

めろこちゃんへ

どこまでも大好きだと思いました改めて。笑

自分のやりたいことを、自分の気持ちのままに選択して進んでいくところ、本当最高です。
自分のその時の感情を大事にできるって素晴らしいことだと思ってます。

そして、心の底から憧れる。

私もこれまでの役2年間、何もかも投げ出したくなりたくなることが何度もありました。

お願いだからギルマスやめさせて!
ってサブマスに泣きついたこともあったw

私には自分の気持ちより優先しなくてはいけないものがある。
これもまた、私の選んだ道です。
だからこそ、まるでもう1人の自分を見ているようで、とても気持ちがよく、めろこちゃんはめろこちゃんのままでいてほしいと思いました。

めろこちゃんがストラスを選択してくれて、時々でも一緒に遊べる環境だったことが幸運です。

また遊んでください(╹◡╹)

30

めろこ

ID: zsz5pjfu6ftt

>> 29
>きょんさん
いつもお世話になっておりますm(_ _)m

私から見るときょんさんは
ギルメンだけではなくて、他の色んな人にも平等に優しくしていて、
色んな所に気を使っているように見えます。

ただ、その裏に、きょんさんの我慢や葛藤がある事は
見てる限り、あまり表には出したくないと思っていたりするのかな。
わからないけれど。
(出してたら勝手に心配しちゃいますが笑)

月並みですが、あまりご無理なさらないで下さいね。
私も昔、MMOでギルマスをやっていましたが、
正直、真面目にやればやるほど、これ子育てか?ってなりますよね。
ゆったり、ゆっくり、気軽にね。

31

めろこ

ID: zsz5pjfu6ftt

>> 29
めちゃどうでもいい裏話なんですけど

はじめて1か月未満のわたし、当時きょんさんの配信をみてて
この記事の#4にコメントしています。笑
あのきょんさんとお話出来てるいま、ステキ。
https://masters.caravan-stories.com/posts/bhlhdtsp

この発言は削除されました(2019/11/22 07:44) 32

33

老舗人

♡ローネリア♡

ID: 5ayvdmstzkpv

 めろちゃんが欲してるのは、仲間ではなくて、友達でもなくて、親友でもなくて、きっと同じ志をもって共に戦い、安心して背中を預ける事が出来て、その志の達成のために全てを犠牲にしてしまえる維新志士達のような戦友ではないのかなと思ってしまいました。
 己の正義のためにただひたすら自分にも戦友にも厳しく真っ直ぐ純粋で、たとえ志半ばで朽ち果てようとも、燃え尽きることのない不消の炎のように、熱く、ただ熱く前を見据える志士。
 最後の一人になろうが、折れぬ刃、曲がらぬ剣、割れぬ盾、砕けぬ鎧とその心は、厚く、ただ厚く、止める事は誰にも出来ない。
 今しばらくの時が、あなたを癒し、それでもなお消えぬ不屈の闘士と魂は、きっとあなたを在るべき場所、在るべき戦友達の元へ誘い、導いて下さいますでしょう。
 私達にとって最早キャラストは、ただのゲームとはなり得ないのです。

34

老舗人

♡ローネリア♡

ID: 5ayvdmstzkpv

>> 33
 ここではないどこかで、誰かが戦い、傷つき、泣き、それでもなお立ち上がり、戦い続ける多くの者達は、あなたが再び立ち上がる時を、今か、今かと待っているのです。想いの強さがあれば、力の強さなど些事なのです。強くあろうとするその志こそ、すべての原点。

 初志貫徹。
 
 原点回帰。

この言葉がわたしからあなたへ送れる励ましとなりますように。

 あなたと共に戦う事は出来ず共、あなたと在る事を心から願う一人のかよわき者より

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めろこ

ID: zsz5pjfu6ftt

>> 34
読んで下さって有難う御座います。
朝コメントを読んで、なんだか私の気持ちをわかってくださっている気がして
一人でボロボロ泣いちゃいました。笑

もう、一言。その通りです。。。

なんだかわたしが何を言っても、
頂いたコメントより自分の気持ちをうまく表現できない気がするので

ただただ、ありがとう。
スクショして、定期的に来る悲しい時間に
また読ませて貰おうと思います。

悲しい出来事ばかりだけど、努力を続ければ、いつか良い事もあるよね。

36

老舗人

♡ローネリア♡

ID: 5ayvdmstzkpv

>> 35
今はただ、傷つき疲れた羽根を休めているだけです。
いつかまた、めろちゃんが飛び立てる日がきっときます。

あなたが、あなたである限り。

そしてあなたが歩き続ける限り、飛び続ける限り、いつか誰かの意志と交わり、気がつけば、あなたのまわりにはたくさんの戦友がいて、共に戦っている事でしょう。

その時になってはじめて気づくのです。

一人ではないのだと。

決して一人ぼっちではないのだと。

強くありたいと思う気持ちは、誰にだってあるのです。
想いの強さには違いはあれど、成長の早さにも違いはあれど、誰しもが強く、そして清くありたいのです。

時には傷つけ、傷つき、折れそうになったとしても、リアルであろうが、イアルであろうが、生き続ける限り、私達は強さを求める事でしょう。

人生を最期の時まで、一生懸命生き抜く強さを。