~これまでのあらすじ~
ランズ岬に上陸したゲッシーの精鋭部隊"モ・フリタス"は、デノン丘陵に布陣したエミリー卿率いるヴァルメル守備隊5,000と交戦、何とか包囲を突破し王都ヴァルメル近傍まで侵攻することに成功した。
しかしながら、モ・フリタスはこの戦いで多くの兵を失いすぎた。若き将軍ミグノノはヴァルメルからの一時撤退を決断する。
ミグノノ達はオーク領のウドン密林に向かった。そこには密かに建設されたモ・フリタスの拠点があるのだ。
モ・フリタスには兵力の補充が必要だった。
Cross Story (偽)
ミグノノ「地図によればこの辺りなんだけど、ここかなあ?…すみませーん!」
ミャルロ「あれえ?こんな所にゲッシーが来るなんて珍しいねえ。」
ミグノノ「あのう、ボクはミグノノって言います。この辺りにゲッシーの拠点があるって聞いたんですけど、知りませんか?」
ミャルロ「それなら、ここだよおー。あなたはミグノノ将軍だね!聞いてるよお。ウドン・ビーストランドにようこそ!あたしはミャルロ。ミャルって呼んでねー。」
ロロタタ「よかったわね、ミグノノ!ここが拠点みたいよ!」
ミグノノ「ボク達、ここで兵力を補充して貰えるって聞いて来たんですけど、ミャルさん、何か聞いてます?」
ミャル「んー、それならバッチリだよう。お師様にミグノノを助けるようにって頼まれてるからねー。…とりあえず、これ持ってついて来て。」
ミグノノ「モップに?バケツ?」
ミャル「さあさあ、早く早く!…この子だよう。」
ロロタタ「まあ!大きなドラゴン!あたしこんなに大きいの、はじめて見たわ!」
ミャル「この子は、バハムちゃん。バハムー何ちゃらっていう古代竜の生き残りでねー、ネロの地下で眠ってるのをミャルが見つけて、捕まえてきたんだよー。…さあ!ミグノノ、バハムちゃんの背中の鱗を、そのモップでこすってあげて。」
ミグノノ「えええ?!…大丈夫かなあ。怖いなあ。食べられないかなあ。」
ミャル「普段はとってもおとなしい、イイ子だよお。怒ると怖いけどねー。」
ロロタタ「このドラゴンは何を食べてるの?」
ミャル「それがねえ、グバア半島で採れるプルトニウムとか、グレン山林で採れるウラニウムとか、ヘンな石しか食べないんだよお。おなか壊さなきゃいいんだけどねー。」
ミグノノ「ほんとだ!おいしそうに石を食べてる!」
それからミグノノは来る日も来る日もバハムちゃんの世話を続けた。ウドン・ビーストランドに到着してから三ヶ月の月日が流れた。
何をしにここまでやって来たのか、すっかり忘れてしまっていた。
ミャル「んー、すっかりバハムちゃんもミグノノになついたねー。…そろそろ頃合いかな?じゃあ、ミグノノ!バハムちゃんに何でもお願いしてみて。とっても頭がいい子だからねー。何でもミグノノの言うことを聞いてくれるよお。」
ミグノノ「ふーん。そうなんだ。じゃあ、バハムちゃん!ちょっとヴァルメル滅ぼして来てよ、…なんて言ってみたりしてw」
ロロタタ「まあ!ミグノノはあいかわらず短絡的ね。ウフフフ。」
バハムちゃん「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ミグノノ「うわっ!バハムちゃん、どこかに飛んでいっちゃったよ!ミャル!大丈夫かなあ?」
ミャル「大丈夫だよう。お腹がすいたら、きっとすぐに戻ってくるよう。」
ミャルの言うとおり、その日の夕方にはバハムちゃんは戻ってきて、何事もなかったように寝てしまった。
ミグノノ「バハムちゃん、どこに行ってたんだろう?よく寝てるね。」
ミャル「ありゃ?!…これは”メガフレア”撃っちゃったんだねえ。あれ撃っちゃうと、この子は千年は眠っちゃうんだよねー。」
ミグノノ「えええええ?!…そうなの?そういうものなの?」
ミャル「この子、あれ撃っちゃったんだ。...これはどこかで大変なことになってるかもねー。」
それからしばらくして、ミグノノの元に”ヴァルメル滅亡”の一報が届いた。
何でも、見たことも無い大きな黒い竜が突然あらわれ、まぶしい光の玉を吐いて王都を消滅させてしまったらしい。
ミグノノ「…グスングスン。どうしよう。ボクだ。ボクのせいだ。ボクがあんなことをバハムちゃんに頼んだからだ。
大変なことになっちゃったよ!…エミリーさん、無事かなあ?グスングスン。」
ロロタタ「ミグノノ、しっかりして!泣かないで!」
こうして精鋭部隊モ・フリタスのヴァルメル侵攻作戦は完了した。
その一報が帝都マルポポにもたらされると、参謀達は直ちに次の作戦を王に進言した。
それは、ヴァルメルから西に転進しマグマミアを攻略、ルーヴェンを拠点にして自由都市ネロを陥落させるというものであった。
ゲッシー帝国の覇道が、自由都市に迫ろうとしていた。
精鋭部隊モ・フリタスの戦いは続く。
(つづく)
写真:ウドンビーストランドにて、ドラゴンの世話に向かうミグノノ将軍。
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