島津豊久の旅日誌

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Episode 44「マルポポ攻防戦(中)~精鋭部隊モ・フリタス戦記15~(偽)」

~これまでのあらすじ~

マルポポに押し寄せてきた10万のダークエルフ軍だったが、秘密兵器のキャラバンは活躍する間もなく破壊され、正面からは戦楽隊、左側面からは精鋭部隊モ・フリタス、後方からはカニ魔獣に襲われ、散々な目にあい、大きな混乱が生じていた。
だが、敵将も侮りがたし。
即座に歩兵隊を4つにわけると、カニ魔獣、戦楽隊、モ・フリタスにそれぞれ1部隊をぶつけてきた。
数で圧倒的に劣るゲッシーたちは、徐々に苦戦に追い込まれていった。

Cross Story(偽)

ミグノノ「敵の数が多すぎて、これじゃあ、マググラさんたちの所に辿りつけないよ!」

精鋭部隊モ・フリタスの前方には、盾を並べて防御陣形を敷いたダークエルフの歩兵隊が立ちふさがっていた。
モ・フリタスの兵士たちは、ミサクラに教えて貰った剣術をつかって、ポムムの枝の木刀でダークエルフをなぎ倒したが、いかんせん、敵の数が多すぎて膠着状態になってしまった。

そこへ突然、空からいくつもの光の矢が降ってきて、ダークエルフがバタバタと倒れた。

ミグノノ「この矢は、お師様だ!お師様が援護してくれてるんだ!...よおし!いまのうちに全力で走って戦楽隊に合流するよ!」

ミグノノたちは、戦楽隊の旗がかすかに見える方向に全力で走った。
時々前方にお師様の光の矢が降ってきたので、ミグノノたちは何とかマググラの居る所まで到達することができた。

ミャル「ねえ~、ミグノノ~。あたし、あのカニ魔獣テイムしてきてもいい~?...なんか今日はテイムできそうな気がするんだよね~。」

ミグノノは、うなずくと、2人の兵士をミャルの護衛につけた。
ミャルは、戦場には似つかわしくないが、スキップしながらカニ魔獣のいる方向に走って行った。

ミグノノ「マググラさん!戦楽隊は大丈夫ですか?」

マググラ「おお!ミグノノ将軍か!今はなんとか防いでいるが、こう数が多いといつまでもは持たんぞ。...ミグノノ将軍、あの旗が見えるか?」

ミグノノが、マググラの指差した方向を眺めると、敵歩兵隊のはるか後方に、10本くらいの旗がたっているのが見えた。

マググラ「あれが、敵の本陣だ。あれを破壊することができれば、何とかなるかもしれん。我ら戦楽隊が囮になって隙間をつくるので、貴公の部隊で敵歩兵隊を突破し、あの本陣を破壊してくれ!」

ミグノノ「...わかりました!」

マググラは戦楽隊を縦長の陣形にまとめると、自ら先頭に立って敵歩兵隊の中に深く突入していった。
戦楽隊は両横から攻撃をもろに受けたが、戦楽隊に気をとられたので、ダークエルフ歩兵隊の陣形にわずかな隙間ができた。

ミグノノ「ボクたちは、あの隙間からまっすぐ敵の本陣に向かうよ!...全軍!突撃ー!」

分身の術によって150人に増えた兵士たちと、100匹に増えたシバイヌたちは、ミグノノに続いて、敵歩兵隊の隊列にまっすぐ突入していった。
ダークエルフたちは戦楽隊に気をとられていたので、モ・フリタスは敵歩兵隊の中を比較的たやすく進むことができた。
だが、すぐに動きを察知され、大きな盾を持った何百人ものダークエルフの重装歩兵に完全に包囲されてしまった。

ミグノノ「だめだ!完全に囲まれてる!おじいちゃん!ここでもう一発、アレを頼むよ!...おじいちゃん!...あれれ??」

おじいちゃんは、ひどく手を震わせながら杖をついて、よろよろと歩いていた。

おじいちゃん兵「わしゃ、若い頃は、戦楽隊じゃってな。ほれ、あの、ノーファス何とかというやつも...。」

ミグノノ「わああああああああ!おじいちゃんが元に戻ってる!こんな時に!なんでー??」

気がつけば、兵士とシバイヌたちの分身もすっかり居なくなっており、ミサクラだけが分身が出して、必死にミグノノたちを護っていた。

ミサクラ「このあたりのスフィラの濃度が元に戻ったようですね。」

ミグノノ「そんなあ!...これはもうダメだよ!あきらめて降参しよう!」

ロロタタ「そうね。早く降参したほうがいいわね。」

ミグノノとロロタタは、持っていた武器を地面に投げると両手を挙げて降参した。
モ・フリタスの兵士たちも、あわててポムムの枝でつくった槍や木刀を放り投げると、ミグノノにならって両手を挙げて降参した。
ミサクラだけは、分身をだして敵兵がミグノノに近づかないように護り続けていた。

(つづく)

写真:自ら囮になって、敵軍の真ん中に突撃していったマググラさんは、ゲッシーの軍人の鑑と言えるだろう。
一方その頃、ミグノノ将軍は、あっさり降参していた。

島津豊久

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