hanageです。

　突然ですが、皆さんは寺山修司の「思い出すために」という詩をご存じでしょうか？　初めて聞いたという方のために短くシンプルに説明すると、

　はじめて愛した人との全てを、今すぐ、まとめて忘れてしまいたい
　思い出すために

　という内容のものです。

　思い出すために全てを忘れる、という、常人の頭では中々ひねり出せない考え方に面白さを感じ、共感した方もいれば、その真逆の気持ちになった方もいるでしょう。　私個人は「そういう考え方、ステキだなぁ…」と思っていますが。

　さて、何故いきなりそんな詩の話をし出したかというと、数日前に私の手元に届いたブツがありまして…。　カンの良い方はこの時点で「はは～ん、あれだな。」と察したことと思います。

　そう、4周年記念として再販された「CARAVAN STORIES Official Artworks」が手元に届いたのです。

　…実は私、こういう「グッズ」というものを買うのは初めてでして。　鼻腔に生まれ落ちてから今に至るまで、壁のポスター・カレンダーはおろか、アクリルの板の一枚、キーホルダーのひとつも、本当に「一度として」買ったことが無いのです。

　じゃあ、どうして？ というと、これが冒頭の「思い出すために」につながります。

　ちょっとお寂しい話になりますが、物事には必ずいつか終わりが訪れるもの。　このキャラストというゲームもやがてはその日がやって来ることでしょう。　または、私の方が先にゲームを去るか。　そうなった時に、何かひとつ、思い出を振り返ることの出来るものがほしいな、と最近になって考えることがあり、丁度そこに今回のアートブック再版のお知らせが舞い込んできたという経緯だったのです。

　これはまさに天啓！　「思い出すために」買っておこう。

　今までいくつもゲームはやって来ましたけれど、不思議と初めて、何の抵抗もなく「アートブックを買おう」と思えたんですよね。　きっと何か、心に強く惹かれるものが、このキャラバンストーリーズというゲームにはあったのかも知れません。

　そういうわけで、「その日」がやって来る事を、願わくば遠い未来であるように祈りつつ、初めて買った「グッズ」というものを端から端まで堪能させていただこうと、この日誌を書きながら思っている次第です。









　…ええ、ええ。

　
　カンの更に良い方はすでにお察しでしょう。
　
　
　この体毛がそんなお洒落な理由でモノを買うわけねーだろ、と。



　…いやー。



　単価4000円だけど幻魔石2000個が特典で付いてくるわけだから実質2000円だし、それくらいなら買っちゃお、と軽い気持ちでポチったはいいのですが、いざ届いてみたらこれが「デカい！ 分厚い！ そして重い！」と来たもんだ。　しかも考えてた数倍くらい出来が良かったのでテンションが上がる上がる！　そのちょいアッパー気味の気分で、こんな大きい本、自分の家にあったかなー？と、自分のもの家族のものを問わず家中の本棚を引っかき回して探した結果、たまたま見つけた書籍の題名が「思い出すために」だったんですよね。

　丁度良いから、こじつけでお洒落な理由として採用しちゃお、とね。

　…

　とまぁ、バファリンに含まれる優しさとほぼ同量の大嘘で飾られた日誌ではありますが、アートブック自体は本当に良い出来なので、購入しようか迷っている方がいらしたら、在庫があるなら「迷わず買えよ、買えば分かるさ！」というくらいお勧めの一品です。　それだけは偽りなく、良い買い物をしたな、と思っています。

終わり。（いつかその日に、思い出すために。）