~これまでのあらすじ~
ゲッシーの首都マルポポのすぐ近くにある洞窟に大きなドラゴンが棲みついて近隣住民が怖がっているので、精鋭部隊モ・フリタスに討伐命令が下された。
若き将軍ミグノノは、キャラバンの大砲で洞窟の入口をふさいで、ドラゴンを生き埋めにする作戦を実行した。
だが、洞窟の中に残っていたゲッシーの若者・ライルを助けるため、ミグノノもまた、生き埋めになってしまった。
Cross Story (偽)
ミグノノ「大変だ!洞窟の入口が完全にふさがってる!これじゃボクたちも外に出られないよ!」
ライル「それはむしろ好都合だよ。これであいつも…、あの古代竜の生き残りも、ここから出られない。」
ライルと名乗ったゲッシーの若者は、背中にかけてあった大きな金色の剣を抜いて構えた。
その剣は、ソフィアが持っている聖剣ミストラルよりも大きく、立派そうに見えた。
ソフィアは聖剣ミストラルを1,000,000Gで行商のおばちゃんから購入したそうだが、この剣はもっと高いのだろうなあと、ミグノノは思った。
ミグノノ「ゲッシーの剣士なんて珍しいね。」
ライル「いやー、恥ずかしながらボクは剣の腕はからっきしダメでね。この剣はお守りみたいなもんさ。ハハハ。」
ミグノノ「えええええ…。それで、どうやってドラゴン倒すのさ?」
ライルは、おもむろに大剣をミグノノに手渡した。
ライル「君のほうが力が強そうだ。これは君にあげるから持っててよ。」
ミグノノ「ええええ…。他人まかせなんだ...。」
ライル「ボクがその剣に魔法をかけるから、思い切りドラゴンに斬りかかってよ。」
ミグノノ「いやー、ボクもほとんど剣なんて振ったことないからなあ。大丈夫かなあ。怖いなあ。」
ライル「大丈夫、大丈夫。君ならできるよ。君はあの、精鋭部隊モ・フリタスの将軍なんだろ?」
ミグノノ「いやー、そんなこと言われてもなー。」
その時、洞窟が大きく揺れて、ドラゴンの咆哮が聞こえてきた。
目を凝らして洞窟の奥を見ると、真っ赤に目を光らせた巨大な黒いドラゴンが、こっちに近づいてくるのが見えた。
それは、今までミグノノが見た中で一番大きなドラゴンだった。
ミグノノ「いやいや、これは逃げたほうがいいよ。あんな大きなドラゴン、絶対無理だって。こんなことならミャルに来てもらえばよかったなあ。」
ライル「ドラゴンに背を向けて逃げちゃだめだよ!逃げると炎を噴いてくるから!…落ち着いて、ボクが言ったとおりに、その剣で斬りかかるんだ。」
そういうと、ライルはミグノノの後ろに廻って、何やら魔法を唱え始めた。
ミグノノはやけくそで、ドラゴンに向かって斬りかかった。
ミグノノの剣はドラゴンの足にあたったが、硬い鱗に覆われていたので、無常にも跳ね返されてしまった。
ドラゴンの足には小さな傷がついていたが、それでよけいにドラゴンを怒らせてしまった。
ミグノノ「うわあああああああ!ダメだ、この剣。全然効いてないよ!」
ミグノノはドラゴンに背を向けて、一目散に逃げ出した。
ふと横を見ると、ライルも一緒に逃げていた。
ライル「いやー、魔法失敗したかも。久しぶりだったからねえ。ハハハ。」
ミグノノ「ハハハじゃないよ!」
(つづく)
写真:ライルのほうが逃げ足が速かったので、置いていかれたミグノノ将軍。
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