~これまでのあらすじ~
ゲッシー領を虎視眈々と狙うダークエルフは、その最大の障害となる精鋭部隊モ・フリタスの将軍ミグノノの暗殺計画を実行にうつした。
最強の刺客がゲッシー領に送り込まれた。
ミグノノは刺客の魔の手から生き延びることができるのだろうか?
Cross Story (偽)
ロロタタ「...ミグノノ、それは何をしてるの?」
ミグノノ「ああ、ポムムの実の出荷が近いから、虫に食われないように一個一個、実に紙を巻きつけているのさ。」
ロロタタ「ウフフ。そうやってポムムの実を育ててるほうが、将軍してるよりミグノノらしいわね。」
そこへ、シバイヌ(?)に乗った聖騎兵隊の三姉妹がやってきた。
ママミミ「将軍!最近あまり部隊のほうに顔出さないから、あたしたちが様子を見に来たわよ!」
モモモモの乗っていたシバイヌがじゃれついて、ミグノノに飛びついてきた。
ミグノノは、まともにシバイヌのタックルを食らったら無事ではすまないことをよく知っていたので、あわてて飛びのいた。
シバイヌはまっすぐポムムの木に向かって突っ込んでいった。
そのとたん、ポムムの木の上から女の子が降ってきて、地面に頭をしこたまぶつけて、のびてしまった。
ロロタタ「大変!この人頭を打ったわよ!すぐに診察するから、ベッドに運んで!」
ロロタタが診察してみると、特に大きな怪我はしていないようだったので、頭に包帯を巻いてあげた。
女の子は1時間ほどすると目をさました。
女の子「...うっ、...ここは、いったい?」
ミグノノ「大丈夫かい?君がポムムの木から落ちて頭を打ったから、ロロタタに治療してもらったのさ!...あんなところで何してたの?」
女の子「そうですか。あなた方に助けて頂いたのですか。...私は、実は、ミグノノ閣下を暗殺に来た刺客です。」
ミグノノ「?!」
女の子「ですが、私は暗殺に失敗して、しかも閣下に助けられた。...ご安心ください。もう閣下の暗殺は致しません。それよりも、何かあなた方に恩返しをしなくては、このミサクラ・ジュリオー、我が帝にお顔向けができません。」
ミグノノ「いやいや。よくわかんないけど、とりあえずしばらく安静にしたほうがいいよ。」
ミサクラと名乗った女の子は、それから丸一日眠っていたが、翌日には自分で包帯をはずして、ポムムの木の手入れを手伝いにきた。
ミグノノとミサクラがポムムの実に紙を巻き付けていると、「エイ!」「ヤー!」という声が聞こえてきた。
ポムムの畑の空き地を使って、精鋭部隊モ・フリタスの兵士たちが、定期的に戦闘訓練を行っているのだ。
ミグノノが兵士たちの訓練を見に行くと、ミサクラもついてきた。
兵士たちは、ポムムの枝でつくった槍やこん棒を振り回して、必死に訓練を行っていた。
だが、知らない人が見たら、かわいらしいゲッシーたちが、小枝を振り回して遊んでいるようにしか見えないことだろう。
ミサクラ「私は、閣下に助けて頂いた恩返しがしたいのです。あの兵士たちの剣術の指南をさせて頂けませんか?」
ミグノノ「えっ!いいの?!それは大助かりだよ!」
ミグノノはさっそく、兵士たちを集合させて、ミサクラを紹介した。
ミグノノ「それじゃあ、ミサクラさん、お願いします。」
ミサクラ「お任せください。では、...兵士たちよ!今すぐお互いに殺しあいなさい!最後に生き残った者にだけ、私の剣術の全てを授けましょう!」
兵士たちは、ポカーンと口を開けてミグノノのほうを見た。
ミグノノ「いやいや!ボクたちゲッシーには、そんなことはできないよ!...ミサクラさん、もっと普通な感じでお願いしますよ。」
ミサクラ「...これは大変ご無礼を致しました。それでは、ここに居る全員に剣術を授けましょう。」
ミグノノ「...大丈夫かなあ。なんか不安になってきたよ。」
(つづく)
写真:精鋭部隊モ・フリタスの剣術指南役に就任した、ミサクラ・ジュリオー。
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