タンゴマの旅日誌

公開

ストーリーとキャラクター その1 「キャラクターを装置にしてはいけない」


長かったハロウィンイベントも終わりましたが、とにかく不評が目立ちましたね。
前回言ったようにイベントとしてのボリューム不足もさることながら、個人的にはストーリーがあまりに酷かったのも一因ではないかなと思います。

今回はそんなストーリーについてのお話です。


終わったイベントなのでネタバレ関係なく書きますが、世界に恨みを持つ敵役が大暴れして、その実黒幕はただの付き添い役だと思われていた女性だったというお話。

「使い古された話だな」とか「まんまマクロスFrontierじゃねーか」とか言ってはいけません。
これだけコンテンツが溢れてるご時世に、誰も見たことも聞いたこともないお話を考えつくなんて土台無理な話なのです。


例えばアニメの人気作である「化物語」などの物語シリーズ。
この作品のストーリーを要約すると、「吸血鬼の力を持つ主人公が怪異と戦うお話」です。
ぶっちゃけゲゲゲの鬼太郎と何ら変わりがありません。
では何故この作品が面白いのかと言うと、作画や演出のレベルの高さもさることながら主人公をはじめとしたキャラクターの魅力と会話のテンポの良さやテキスト自体の面白さがあるからです。

主人公の阿良々木君は、友達もおらず斜に構えたところのある少年ですが、その実困っている人を見過ごせない正義感に溢れた熱い心を持つ少年です。
ターゲット層である視聴者の共感を得やすい設定のキャラクターが、自己犠牲を厭わず困難に立ち向かう姿を見て視聴者は「カッコいい」「自分もこうありたい」と感情移入がなされるのです。

主人公を取り巻く登場人物も個性的で、キャラクター同士の会話を聞いているだけで面白いし、キャラの性格や立ち位置が理解できるように作られています。


一方キャラストで何度となく繰り返される会話。

フォルク「見てください。〇〇が〇〇しています」
レーナ「たいへん!行きましょう!」

今回のイベントのように各国の軍勢が集結している様子をムービーで描こうとすると大変な手間と時間がかかるので手っ取り早く説明しようと言うのはわかりますが、この会話には何の面白みも無いし、キャラクターがただの状況説明をする装置になってしまっています。

せっかくのキャラクターを殺すような使い方をしてしまうのは厳しい言い方をすればクリエイターとしての怠慢ですよね。

ストーリーの面白さやドラマというものはキャラの行動に付いてくるものだし、共感や感情移入があって初めて視聴者はストーリーに乗ることが出来るのです。


藤原竜也主演、阪本順治監督の映画で「カメレオン」という邦画があります。
とにかくクソつまらない映画で俺が観た邦画の中で一二を争うダメ映画です。
実力も人気もある俳優と日本映画界を代表する監督がタッグを組んだのに、何故こんな駄作が産まれたのでしょうか。
そこにはやはりキャラクター作りの失敗がありました。

この映画の主人公は経歴などが一切の謎に包まれた詐欺師。
ひょんなことから犯罪組織に命を狙われる羽目になり、追手とのアクションを繰り広げるのですが、格闘シーンでは何故かめちゃくちゃ強く、カーチェイスでは何故かプロレーサーなみのドラテクで敵を圧倒します。
何故主人公がそんなに強いのかの説明は一切なく、周りはおろか主人公自身も自分が何故こんなことが出来るのかわからない始末。
要するに脚本家が自分だけに都合の良い設定をちゃっちゃと付与してるだけなのです。
こんなバックボーンのないキャラクターがいくら活躍しようとも視聴者は全く共感も興奮も出来ず、映画全体に終始しらけたムードが漂っています。
ちなみにこの映画はもともと松田優作主演で深作欣二監督が撮る映画として企画されていながらボツになった作品だそうです。
これをボツにした深作監督はさすがですね( ^ω^ )

「キャラクターが強い」設定にするためには、何故そのキャラクターが強いのかの理由が必要です。
そのために過酷な特訓だったり壮絶な過去だったりをきちんと描いて初めて視聴者はキャラクターが何故強いのかを納得し、そこでようやく感情移入することが出来るのです。


とは言っても最近はなろう系の流行などで主人公が理由もなく無双状態だったりしますけどね。

昔なら脚本やストーリーを決める会議上で「主人公が突然力に目覚めてめちゃくちゃ強くなります!」なんて言おうモノなら「お前はアホか。そんなのがまかり通るわけねぇだろこの低脳!」と一喝されたものですがこれも時代ですかね(・ω・)


一年目のハロウィンは、リドミラとヴェロニカの関係性をベースに、ゾネリや他のキャラクターを絡めたスラップスティックな面白さがありました。

二年目のハロウィンは、フィッツバルトに絡めてアルフレッドの苦悩や弱さを描いた成長物語としての面白さがありました。

三年目のハロウィンは、アンジィのキャラクターがよく出来ていた上に敵役だったルヴァルスの意外な一面を見せる面白さがありました。

しかし今回のハロウィンイベントは、敵にも味方にもなんの魅力もなく、面白さの欠片もなかったと思います。

運営さん疲れ過ぎてるんじゃないの?
ゲーム内容もビーストをテイムするだけとかストーリーと全く関係なかったし、ただキャラバン一向がハロウィンのお祭りを楽しむって導入だけ用意して終わりで良かったんじゃない?
無理してお話作ろうとしなくてもええんやで?


〜続く〜 かも?


タンゴマ

コメント

1

ソナーニャ

ID: 3ar3nbaaafq3

プ ・・、そ、その道のプロですか?もしかして。長文ながら “その1”全文よみました。いぇむしろ、はまりました。 ^^

『人がいないからイベントのストーリーまでまともに作ってられないよぉ』っていうのが本当のところなのかなぁ、なんて勝手に思っています。イベント無関係の通常のヒーローストーリーのホウはおもしろいと感じることなら多々あるんですけどねー。つまらないイベントストーリー進めるくらいならストーリーなくてもいいんじゃない?っていうのに賛成です。

2

圧倒的支持率

タンゴマ

ID: n9tkjvq6hd3s

>> 1
ゲーム内容と全くリンクしない手抜きストーリー作るくらいなら、冥界からやってきた闇ミャルロみたいなのを出して「ウチが飼ってたビーストが逃げ出しちゃった!連れ帰ってきてくれたらお礼するよ!」でも、ハロウィンのお祭りなんだから「テキ屋ポルカでございます。この手帳をコンプリートすれば豪華賞品がありますぞ!」でも良かったと思います。

真面目すぎるんですかねぇ運営さん

3

圧倒的支持率

キリル

ID: df842st87xwb

終始うんうん、そうなのそうなの!!と頷きながら、じっくり読ませて頂きました。

> 「キャラクターが強い」設定にするためには、何故そのキャラクターが強いのかの理由が必要
↑↑↑特にココ!!
強キャラがバンバン実装されていて、何となくモヤモヤとしていたのはのは、まさにこれです。
ストーリーもそこそこに、ぽっと出のぶっ壊れたキャラが出てくる度に何だかなぁ…と思ってたんですよね💧

既存の闇キャラ沢山いるのに、この子達をもっと生かしたハロウィンストーリーだと誰も文句言わなかったんじゃないかなぁ
でも新キャラ出してガチャ回してもらわないと、運営さんサイドからすると売上に結び付かないのかな。

テキ屋ポルカわろたですww

4

圧倒的支持率

タンゴマ

ID: n9tkjvq6hd3s

>> 3
昔みたいにガラッドとかルーファスとかストーリーに出てくるキャラを先行ガチャで手に入れたい!ってのはわかるんですけど、お前誰やねんってキャラを強いってだけでは愛を注げないんですよねぇ。

ストーリー1話だけでその後放置されてるガチャキャラの多いこと多いこと。

そこに愛はあんのかい?