~これまでのあらすじ~
各国の大使たちが、ネロの議場に集められた。
後に”ソフィア=バロウズの屈辱”と呼ばれ、歴史に刻まれることになる停戦交渉会談が始まったのである。
ヴァルメル王ミグノノは、大使たちに速やかなヴァルメルからの軍の撤退と、ネロでの騒乱をおさめるように説いた。
しかしながら、議論は平行線のまま、むなしく時間だけが過ぎていった。
Cross Story (偽)
オーク領事「だいたい、最初にしかけてきたのはエルフ共じゃねえか!エルフが我々に謝罪しろ!まずはそれからだ。」
エルフ大使「何ということを!今のオーク領事のお話は聞きづてなりませんな。我々エルフは断固抗議します。」
ロロタタがお茶を運んできて、みんなに配って回った。
ロロタタ「...どう?うまくいきそうなの?」
ミグノノ「いやあ、これは難しいかもね。リリさん、何とかなりませんか?リリさん?...うわあ、ぐっすり寝てるよ、この人。よだれ垂れてる。」
ミグノノが、お茶を飲みながら何気なく窓の外を見ると、はるか遠方に真っ黒な煙が立ち上っているのが見えた。
ミグノノ「...あの煙は、何だろ?」
しばらくすると、議場の扉が開いて、ネロの役人があわただしく飛び込んできた。
ネロ役人「皆様。一大事ですぞ!あの煙は、どうやら対岸のルーヴェン城が炎上しているらしいのです。」
ドワーフ大使「なんと!」
ミグノノ「うわあああ!!ソフィアさんたちのことすっかり忘れてた。...ランヴォルドさん、ソフィアさんを防げなかったんだ。...ソフィアさん、あそこまでやることないのに!」
オーク大使「ちょっと待て!...陛下、今ソフィアとおっしゃいましたか?あの”野獣と化した白銀の破壊神”ソフィア=バロウズが、まだ生きていたのですか?あの化け物が今、マグマミアを攻めているのですか?」
ミグノノ「...ええ。まあ。」
ギュリアム大使「まあ何て恐ろしい!その方は、大罪を犯して八つ裂きにされたあと、ネクロマンサーがつなぎあわせて蘇らせた”不死で白銀で狂乱のアンデッド”と聞いておりますわよ。」
リリ「私たち、ゲッシー領にもその方のお噂は伝わっておりますわ。何でも捕まえたゲッシーを生きたまま頭から食べてしまわれたそうで。ゲッシー領では”野獣と化した白銀のゲッシー・イーター”と呼ばれておりますわ。
ロロタタ「まあ!ソフィアさんって、結構有名だったのね!」
ミグノノ「いや、...ボクは何かソフィアさんがかわいそうになってきたよ。」
その時また議場の扉が開いて、一人の騎士が入ってきた。
ソフィア「失礼致します。ヴァルメルの騎士、ソフィア=バロウズと申します。こちらに我が王がいらっしゃると伺ったのですが。」
ミグノノ「うわあああああ!ソフィアさん、何でここに居るのさ?!ルーヴェンで戦ってるんじゃ?」
ソフィア「ああ、ロンヴァルドにかわってもらったんだ。私は貴様を連れ戻しに来た。後でたっぷりお仕置きしてやるから覚悟しろ。私から逃げられると思うなよ。」
リリ「いやあああああああ!!今あなたはソフィアとおっしゃいましたわね?お願いします!どうか私を食べないで!」
ソフィア「はあ?...何の話だ?」
オーク領事「げえ!出た!出た!ソフィアだ!出やがった!”野獣と化した白銀で邪神のオーク100人斬り”のソフィアだ!間違いねえ!皆殺しにされるぞ!!」
エルフ大使「うわああああああああ!!!」
ギュリアム大使「きゃあああああああああああああ!!!」
オーク領事「...わかった!わかった!オークは直ちにヴァルメルから軍を引く!だから、早くソフィアをここから追い払ってくれ!」
ギュリアム大使「私は何でも致します。直ちに本国に軍を引くよう伝えます。ですから陛下、命だけはお助けを!」
ソフィア「...何なんだ?これは?」
大使たちが本国に連絡すると、ヴァルメルに出兵していた各国の軍は、それぞれ本国に戻っていった。
こうしてイアルと自由都市に平穏が戻ったのだ。
ロロタタ「何だかよくわからないけど、よかったわね。ソフィアさん大活躍だったじゃない。...ソフィアさんはどこにいったの?」
ミグノノ「さあ。さっきまで柱の陰で泣いてたよ。ボクはかわいそうで声をかけられなかった。」
ロロタタ「まあ。...それで、ミグノノはこれからどうするの?」
ミグノノ「リリさんが、ナルポポ村まで送ってくれるってさ。帰ろう、ロロタタ!ボクたちの故郷へ!」
こうして、ゲッシーの精鋭部隊モ・フリタスの大陸遠征の旅は終わった。
若き将軍ミグノノは、故郷のナルポポに帰っていった。
だが、時代の荒波は、彼に安寧を与えない。精鋭部隊モ・フリタスの新たな戦いがはじまろうとしていた。
(つづく)
写真:”狂乱の暗黒邪神で野獣でバビルザと化した白銀のゲッシー・イーター”ことヴァルメルの騎士ソフィア=バロウズ
(パーティーの中にいるゲッシーの数が、少しづつ減っていく。)
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