~これまでのあらすじ~
アルアリアに不穏な動きあり!マルポポ政府に情報がもたらされた。
マルポポ政府は直ちに精鋭部隊モ・フリタスにアルアリアにおける諜報活動を命じた。
アルアリアにある料理屋「丸耳のゲッシー亭」は、実はゲッシーの諜報拠点である。
ミグノノ将軍はロロタタとともに、店員として「丸耳のゲッシー亭」に派遣され、諜報活動にあたることとなった。
Cross Story (偽)
ミグノノ「...うーん。この店はいつもお客さんが少ないねー。こんなんで情報集められるのかなー。名物料理の、このラーメンってのが、いまいちおいしくないんだよねー。」
ロロタタ「倭国の料理らしいんだけど、確かにあまりおいしくないわね。」
その時、カウンターでラーメンを食べていたヒューマンの少女が話しかけてきた。
少女「ズルズル。...あのう。この麺はどうやって作ってるんですか?」
ミグノノ「へっ?作ってないよ。毎日ゆであがった麺を、市場で買ってるんだ。」
少女「ああ、やっぱり。...ラーメンはゆでたてを食べるのが一番おいしいんですよ。このお店で麺を作ってみてはいかがでしょうか?」
ロロタタ「そうは言っても、あたしたち麺の作り方なんて知らないのよ。」
少女「それなら大丈夫です!あたしはパン屋さんなんですけど、友達が北モリアナで小麦をつくっているので、頼んで届けて貰いましょう。それと、機械に詳しいドワーフの友達も居るので、製麺機もつくってもらえますよ!」
その少女、アメリアが手配してくれたので、数日後にはたくさんの小麦袋と、ピカピカの製麺機が店に届いた。
ミグノノとロロタタは、さっそく麺をつくってみた。
ミグノノ「ズルズル。...おいしい!これ、すごくおいしくなったよ!アメリアの言ったとおりだ!」
ロロタタ「ズルズル。ほんとね!これならお客さんもいっぱい来てくれるわね!」
アメリア「ズルズル。...うーん。確かに麺はおいしくなりましたけど、スープが麺の力強さに追いついてないというか。...このスープはどうやって作ってるんですか?」
ミグノノ「スープはねえ、市場でこの”ミサクラちゃん”印の粉末スープを買ってきて、お湯に溶いて使ってるんだよ。」
アメリア「ああ、やっぱり。...せっかく麺がおいしくなったんだから、あたし、スープも自作したほうがいいと思うんです!」
ロロタタ「そうは言っても、あたしたち、おいしいスープの作り方なんて知らないのよ。」
アメリア「それなら大丈夫です!あたしの友達に、猟師の人がいるんです!バビルザを届けて貰って、骨を煮込んでスープをつくりましょう!」
アメリアが手配すると、ヒューマンのやさ男と、気難しそうなドワーフの親父と、怖そうなオークの美人が、毎日交代でとれたてのバビルザを届けてくれるようになった。
ミグノノたちは、さっそくバビルザの骨を煮込んでスープをつくってみた。
あまった肉は、ロロタタが提案して、ヒモで縛ってホロホロになるまで甘辛く煮てみた。
さらに、ラーメンのトッピングが肉だけでは味気ないので、ロロタタは茹でた野菜も一緒に盛り付けてみた。
ミグノノ「ズルズル。...おいしい!これすごくおいしいよ!これならお客さんもいっぱい来てくれるよ!」
ロロタタ「ズルズル。ほんとね!今までのラーメンとは全然違うわ!」
アメリア「ズルズル。うーん、確かにすごくおいしいけど、もう一つ何かアクセントがあったほうが。...そうだ!生ガーリックを細かく刻んで、かけてみてはいかがでしょうか?」
ミグノノは、アメリアに言われたとおり、生ガーリックを細かく刻んでラーメンにふりかけてみた。
アメリア「ミグノノさん!もっと!もっとです!もっといっぱいかけたほうが、きっとおいしくなりますよ!」
ミグノノ「ええ?そんなにかけるの?生ガーリックで麺が見えなくなっちゃったよ!」
それからミグノノたちは、生ガーリックがスープ全体にゆきわたるようによくかき混ぜて、できたてのラーメンを試食してみた。
ミグノノ「ズルズル。...すごい!このラーメンは、ボクが今まで食べたものの中で一番おいしいよ!」
ロロタタ「ズルズル。アメリアってすごいわね!生ガーリックをいれただけで、おいしさのレベルが全然あがったわ!」
アメリア「ズルズル。うふふ。これなら、お客さんもきっと、喜んでくれますよ!」
ミグノノは、思い切って他の料理はやめて、これからはラーメン一本でがんばっていくことにした。
店の名前も「丸耳のゲッシー亭」から、ミグノノ、ロロタタ、アメリアの3人の名前をとって「ミ・ロ・ア」にすることを提案したが、アメリアが遠慮して辞退したので「ミロー」に落ち着いた。
こうして、新生「ラーメンミ郎アルアリア店」は、開店初日を迎えたのだった。
(つづく)
写真:ラーメン大好きアメリアさん。パン焼きの修行の旅で立ち寄ったマルポポのとある料理店で食べたラーメンに感銘を受け、以後、ラーメン食べ歩きの旅を続けているらしい。
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