島津豊久の旅日誌

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Episode 36「ラーメンミ郎アルアリア店(後編)~精鋭部隊モ・フリタス戦記12~(偽)」

~これまでのあらすじ~

マルポポ政府の指令により、アルアリアで諜報活動を行うことになったミグノノ将軍とロロタタは、諜報活動のことなどすっかり忘れて、おいしいラーメン作りの虜になっていた。
ミグノノたちの店「ラーメンミ郎アルアリア店」には、ガーリックの刺激を求めて、今日も大勢のお客がおしかけてきた。
ミグノノたちは、アルアリアの不穏な動きをつきとめることができるのだろうか?
それと、ガーリック入れますか?

Cross Story (偽)

ミグノノ「...いやあ、今日もお客さんがいっぱいだったねえ。」

ロロタタ「ほんとね。忙しくて休む暇が全然なかったわ。」

ミグノノ「ボクは、エルフの人たちは、もっと薄い上品な味が好きなんだと思ってたから、こんなに受けるとは思わなかったよ。」

アメリア「きっと、エルフの人たちも薄味には飽きちゃったんですよ。」

店を閉めた後も、ミグノノたちが休む暇は無かった。翌日の仕込みのため、ミグノノはドワーフ製の製麺機をフル稼働させ、ロロタタは、バビルザの骨を煮込んでスープをつくったり、肉をホロホロになるまで煮込んだりした。

そんなある日、ラーメンミ郎アルアリア店にいかにも上品そうなエルフの姉妹がやってきた。

エメット「私、大盛り、麺・固め、バビルザ・トリプル、野菜・ゲルブルズ(注:山盛りの意)、ガーリック・マシマシ、アブラ・マシマシでお願いしますわ。」

レリオーラ「私も、エメットさんと同じものをお願いしますわ。」

ラーメンが出来上がると、エルフの姉妹は、上品そうな見た目とは裏腹に、モリモリとラーメンを食べ始めた。

エメット「ズルズルズル。...ほへえはは(お姉様)!私、今回のお父様のお考えには反対ですの!...いくらロヴァニエをダーク・エルフから取り戻すためとはいえ、かわりに彼らのゲッシー領侵攻を手助けする密約をなさるなんて!」

レリオーラ「ズルズルズル。...へへっほはん(エメットさん)。ものを食べながらお話されてはいけませんわ。ズルズルズル。ひっほ(きっと)、お父様にも何かお考えがあるんだと思いますわ。ズルズル。」

エメット「ズルズルズル。へほ(でも)、これではゲッシーさんたちが、あまりにかわいそうですわ!」

エルフの姉妹は、満腹になると満足して帰っていった。

ミグノノ「ロロタタ!大変だよ!」

ロロタタ「そうね!まさかあんな細いエルフの女性が、大盛り、麺・固め、バビルザ・トリプル、野菜・ゲルブルズ、ガーリック・マシマシ、アブラ・マシマシを、完食するとは思わなかったわ!」

ミグノノ「それも凄いけど、そうじゃないよ!今の人の話だと、ダーク・エルフがゲッシー領に侵攻してきて、それにアルアリアが手を貸すって言ってたよ!...はやくマルポポに帰って、マググラさん達に伝えないと!」

ロロタタ「まあ!それは大変ね!」

ミグノノたちは、翌日の船に乗ってマルポポに帰還することにした。
次の日の早朝、ミグノノ達が旅支度を整えて店の外にでると、外には既に大勢のエルフたちが行列をつくっていた。

エルフ客「おっ!大将!材料の調達ですかい?今日も大将のラーメンが食べたくて、昨日の夜から並んでるんですよ!...ああ、早く開店時間にならないかなあ!」

ミグノノ「...。」

ロロタタ「ミグノノ!どうしたの?早く行かないと船がでちゃうわよ!」

ミグノノ「ロロタタ。ボクは行けないよ。こんなにいっぱいのお客さんが並んで、ボクたちのラーメンを楽しみにしてくれてるのに、放っては行けないよ!」

ロロタタ「...仕方ないわねえ。今日だけ!今日だけよ!」

それからミグノノたちは、店を開くと、いつもと同じように猛烈な勢いでラーメンを茹ではじめた。
ミグノノもロロタタも休む暇なくラーメンを作り続けた。
あまりに忙しかったので、大切な任務のことなど、いつの間にかすっかり忘れてしまっていた。

ミグノノたちは、来る日も来る日もラーメンを茹で続けた。
忙しい時には、アメリアが手伝いに来てくれた。
それでも人手が足りなくなると、本国から精鋭部隊モ・フリタスの兵士を何人か呼び寄せた。
彼らがラーメンの作り方を覚えると、自由都市ネロ、ヴァルメル、ギュリアムにも順番に支店を出店していった。

それからしばらくして、ミグノノはお客のエルフの一人から、マルポポにダーク・エルフの軍勢が侵攻してきたらしいという噂を聞いた。

ミグノノ「あっ!」

ロロタタ「あっ!」

ミグノノ「あああああああああああ.....。」

(おしまい)

写真:大盛り、麺・固め、バビルザ・トリプル、野菜・ゲルブルズ、ガーリック・マシマシ、アブラ・マシマシを完食したエメットさん。この後レリオーラさんと一緒に食後のパフェを食べに行ったらしい。

島津豊久

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