島津豊久の旅日誌

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Episode 42「モ・フラ=レテマスの栄光(下)~精鋭部隊モ・フリタス戦記14~(偽)」

~これまでのあらすじ~

精鋭部隊モ・フリタスの剣術指南役に就任したミサクラは、兵士たちをビシビシ鍛えた。
若き将軍ミグノノが、ポムムの収穫作業におわれていた一ヵ月の間に、兵士たちは一人で1,000人を倒す”精鋭中の精鋭部隊”に生まれ変わっていた。
部隊がこんなに強くなってしまって、ミグノノに活躍の場はあるのだろうか?
...ストーリーのバランス的に、それでいいのだろうか?

Cross Story (偽)

ミサクラ「ミグノノ閣下。大変申し訳ないのですが、仕事が入ってしまいまして、2週間ほどヴァルメルに行かねばならなくなってしまいました。」

ミグノノは、ミサクラの仕事というのは、たぶんアレなのだろうなあと思ったが、そこには、あえて触れなかった。

ミグノノ「いいよ、いいよ。ミサクラさんにはお世話になってるから、ついでにクレセント温泉郷まで足を延ばして、たまにはゆっくりしてきなよ!」

そういうと、ミグノノはミサクラにお小遣いを渡した。

ミサクラ「閣下。お心遣い感謝致します。」

ミサクラは深々とお辞儀すると、ヴァルメルに向けて旅立っていった。
そして、ヴァルメルに着くと依頼に従って、ヴァー何とかという枢機卿のハゲ親父と、バンドーとかいう倭人の司祭をサクッとアレした。

依頼人は黒角騎士団の金髪の女騎士だったが、ミサクラの成功報酬があまりにも高かったために、泣きながら剣と盾を売って、何とか工面したのだった。

ミサクラは報酬を受け取ると、クレセント温泉郷に向かい、2週間の休暇を満喫した。

1ヵ月後、ミサクラがナルポポ村のポムム農園に戻ってくると、農園の入口あたりに”聖騎兵隊”の3匹のシバイヌが日向ぼっこしていた。

ミサクラ「...。」

このシバイヌたちは、ミサクラが鍛えたので”分身”を自在に操り、野獣の眼光になっていた。
...はずだったのだが、二匹はミサクラが近づいても気づかずに寝ていた。
一匹はしっぽをふりながらミサクラにすりよって来たが、ミサクラと目があうと、とてもつぶらな瞳をしていた。

ミサクラ「...。」

そこへ、精鋭部隊モ・フリタスのおじいちゃん兵がやってきた。
このおじいちゃんは、ミサクラが鍛えたので杖で大岩を叩き割る達人になっていた。
...はずだったのだが、手をプルプルと震わせながら、杖をついてフラフラ歩いていた。

おじいちゃん「わしが若いころは、戦楽隊じゃってな。...ほれ、あのノーファス何とかいうやつも、わしの戦友じゃってな。」

おじいちゃんはミサクラに気づかずに、ブツブツ言いながらフラフラ歩いていった。

ミサクラ「...。」

ミサクラが、ポムム農園の演習場に戻ってくると、兵士たちが戦闘訓練を行っていた。
兵士たちは、ポムムの枝で作った木刀や槍をつかって懸命に訓練を行っていたのだが、ミサクラの目には、かわいらしいゲッシーたちが、小枝を振り回して遊んでいるようにしか見えなかった。

ミサクラ「これは!いったいどうしたのです?...最強の剣術と奥義を教え込んだはずですが!」

ミグノノ「いやあ。面目ない。...ミサクラさんが出かけた後、みんな食っちゃ寝、食っちゃ寝の生活に戻っちゃってねえ、あっという間にこのザマだよ。何せボクたちはゲッシーだからねえ。ハハハ。」

ミグノノがそう言うと、兵士たちはどっと笑った。

ミサクラは、頭を抱えてその場にうずくまった。

そこへ、プププ、プー!というラッパの音が響き渡って、戦楽隊の制服を着た兵士が一人走って来た。

戦楽隊の伝令係「伝令!伝令!ミグノノ将軍にマググラ将軍から伝令です!」

ミグノノ「どうしたの?何かあった?」

戦楽隊の伝令係「現在、マルポポがダークエルフの軍勢に包囲されております!その数10万!マググラ将軍から、精鋭部隊モ・フリタスに、出動要請です!既にミャルロ殿にもこちらに向かうよう指令がでておりますので、ミャルロ殿と合流次第、ミグノノ将軍もマルポポに急行して下さい!」

ロロタタ「ええええええ!!!!大変じゃない!!!」

ミグノノ「そんなあ!こんな時に攻めてくるなんて!...うちの部隊、一ヵ月前だったら強かったのにねえ...。」

そう言うと、ミグノノは頭をかかえて、ミサクラと一緒にその場にうずくまった。

タタリン「ミグノノ!早く行くわよ!」

タタリンは、すぐにキャラバンを呼んだ。

(つづく)

写真:「敵の数は10万かあー。...いやあ、これはさすがに無理じゃないかなあ。...このまま逃げちゃおうかなー。」
ミグノノはタタリンにお尻をつねられて、無理やりキャラバンに乗せられた。

島津豊久

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