記録者:アリアロ
「いませんねぇ……」
ドガ要塞のエリアをぐるっと走りまわってきたタタラさんが、息の乱れひとつなく報告してくれました。
「おかしいですね。みなさん口々に、ドガ要塞にいるからとおっしゃるのですが」
依頼を受けたものの、待ち受けているはずの当事者がいないというのは、初めてのことです。
「ただ単に、どこかに出かけているんじゃないか?」
ポロックスさんがキャラバンから降りてきました。
「こ、このようなことは初めてにございます……」
ポルカさんが当惑しておられました。
「キャラバンって、魔法と機械の融合物なんですよね? 機械部分の故障ってことはないんですか?」
タタラさんがポルカさんに詰め寄りました。
「キャラバンの故障であれば、一心同体であるわたくしめが、真っ先に異常に気づいております」
「ああ、そうでしたねぇ……」
タタラさんは不思議そうに首を捻りました。
「他の冒険者さんの日誌を拝見しても、オルゴレさんについては妙な記述が目立ちますね。ひょっこり出てきたりするんでしょうか?」
「そうなんじゃない?」
ポロックスさんは、あまり気にしてはおられないご様子でした。
「ま、いない人のことを探し回って時間を無駄にするわけにはいかないよ。もう行こう。アクシオンから〝ドクダミはまだか〟って催促が来るぜ?」
そうなのです。熱血ドクター、アクシオンさんから依頼を受けている途中でした。私も含め、外に出ていたみなさんは、ポロックスさんに力ずくでキャラバンに押し戻され、急ぎドクダミを集めてアクシオンさんが待つ戦場へと赴くこととなりました。
*
「あー、終わった終わった。いい結末になって良かったな」
キャラバンの共有ラウンジのソファに深々と身を沈め、一息ついたポロックスさんが言いました。
「病院の経営って大変なのね……」
ミリアさんも、お疲れのご様子。
アクシオンさんと別れた後、バルゾーイに向かい、ゲンバという村長さんからの依頼を受けて、再びドガ要塞へと向かっているところです。
「今度は……いますかね?」
タタラさんは落ち着きなく窓の外を見ています。
「誰が? ーーああ、オルゴレって人? いるんじゃない?」
いなかったらまた日を改めればいいさ。
そう言って、ポロックスさんはそのまま眠ってしまいそうなほど、大欠伸をして目を閉じてしまわれました。
ドガ要塞に到着すると、タタラさんが真っ先に降りて行かれました。しばらくして、速い足音がキャラバンに向かってきたかと思うと、タタラさんの声が響き渡りました。
「アリアロさーん、ポロックスさーん! いましたよー!」
「あー、よかったね……(むにゃむにゃ)」
「もう、ポロったら」
ミリアさんがポロックスさんの頭を小突きましたが、起きる気配はないようです。
外に出ていくと、マンドラゴラのリザもついてきました。
「アリアロさんっ、早く早く!」
またいなくなってはかなわんという勢いで、タタラさんが足踏みをしながら私を呼びました。
ゲンバ村長からの用事を伝え、そこで終わったかに思えましたが……
*
「え? まだあるの?」
キャラバンに戻り、次の行き先をポルカさんに伝えると、ミリアさんが目を丸くして呆れていました。
「ずっと留守だったくせに、依頼はガンガン投げてくるのね」
「なんだか……どっと疲れました」
いつも元気溌剌なタタラさんが、空気が抜けた風船のようになりました。
「もう〜。気晴らしにどっか行かない?」
今回ばかりは、ミリアさんの意見に賛成です。
「ゲッシー領の海辺にでも参りましょうか」
「いいわね! 綺麗な海を見てぼーっとしたいわ。もうオークに振り回されるのはこりごりよ……」
「え? なに、海に行くのかい?」
一眠りしてスッキリしたご様子のポロックスさんが、無垢な笑顔で話しかけてきました。
奇妙な出来事に遭遇した時は、ポロックスさんのように気楽に考えるのが一番のようですね。
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[タリス] 中の人ひと言
オルゴレさん、なかなか現れませんでしたね。
ドガ要塞に飛んでも、オートボタンを押すと「徒歩で移動してください」と出て、「え? NPCをわざわざ探さにゃならんの?」と。
ドガ要塞エリアにいるNPCをくまなく探しても、〝オルゴレ〟なる人は見つからず……。
ドガ要塞に飛んでも、オートボタンを押すと「徒歩で移動してください」と出て、「え? NPCをわざわざ探さにゃならんの?」と。
ドガ要塞エリアにいるNPCをくまなく探しても、〝オルゴレ〟なる人は見つからず……。
バグではないかという記事を読んでいたので、『有事のための武器調達』『ゴブリンはつらいよ』というふたつの依頼、削除してしまいました。(ノД`)・゜・。
あれってガルドメでの依頼でしたっけ……。
まだ受けられるかなあ?
バルゾーイで「またオルゴレ!?」と思ったのですが、〝出てくる〟ほうに賭けてみることにしました。
(ロギオンじいちゃんもお話に出せばよかった)
アクシオンのストーリーを最後まで終えて、(あ、この人、仲間にはならないのね)と思いつつ、試しにドガ要塞に行ってみたら、いましたよ、オルゴレさん。
場所はドガ要塞のE7です。
しれっと出てきて、追加依頼してくるので、振り回された感満載です。
アクシオンのストーリーかどうかはわかりませんが、何かをひととおり終えさえすれば、出てくる人のようですね。
こういうバグは早めに直して頂きたい……。
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