島津豊久の旅日誌

公開

Episode 18「ローモンド湖会戦(後編)~精鋭部隊モ・フリタス戦記5(偽)~」

~これまでのあらすじ~

ヴァルメル王に即位したミグノノは、マグマミア侵攻を決断する。
彼はゲッシーの精鋭部隊モ・フリタスと黒角騎士団の連合軍、総勢2,000騎を従え、ヴァルメル城を出発した。
北モリアナからマグマミア領に侵攻した連合軍がローモンド湖にさしかかった時、前方に50騎ほどのバビルザ騎兵が立ちふさがった。マグマミア王ランヴォルドと赤牙騎士団である。
ここに、黒角騎士団と赤牙騎士団の全面対決”ローモンド湖会戦”が勃発した。

Cross Story (偽)

ランヴォルド「残念だったなー。ヴァルメルのバカ共が!へっ、てめえらの動きなんざお見通しよ!これ以上俺の領地には踏み込ませねえぜ。」

ソフィア「ぐぬぬ!おのれランヴォルドめ!小癪な!」

ランヴォルド「なんでえ、なんでえ!ロンヴァルドかラルフでも来てりゃあ、ちっとは楽しめたのによう。ソフィアのお嬢ちゃんかよ。」

ミグノノ「...あのう、ソフィアさん。ボク思うんですけど、ランヴォルドさんがあんな少人数であんな所にたってるのは、罠なんじゃないですかねえ。ほら、左右の茂みにいかにも伏兵がいそうな。...あの、ソフィアさん、ボクの話聞いてます?」

ソフィア「...ゆるせん。」

ミグノノ「は?」

ソフィア「私を愚弄するとは!ゆるせん!ゆるさんぞ、ランヴォルドオオオオオオオ!そのふざけたバビルザごと叩っ斬ってやる!全軍、突撃イイイイイ!!!!」

黒角騎士団「うおおおおおおおおおおおおー!!!!」

そのとたん、ミグノノが言ったとおり、左右の茂みから伏兵が飛び出してきてソフィアの前に立ちふさがった。
気づけば後ろからも飛び出してきて、ソフィアは完全に包囲された。

ミグノノ「うわああ!だから言ったのに!少しはボクの話も聞いてよ!」

だが、誰もソフィアの突進を止められなかった。ソフィアが走りながら剣を横にはらうと、重装歩兵が5人ほど吹き飛んだ。

ロロタタ「まあ!ソフィアさんってとっても強いのね。」

その後も、崖から投げられた大岩があたって吹っ飛んだり、落とし穴に落ちてかわいい悲鳴をあげたりしながら、ソフィアは何事もなかったようにすぐに飛び起きて、まっすぐランヴォルドめがけて突っ込んでいった。

ミグノノ「ソフィアさん、...あれでよく死なないなあ。」

ヨルド「ソフィア様が、いつも全ての罠を見破って下さるので、我々はたいした被害を受けないのですよ。」

ランヴォルド「なんじゃこりゃ?!こいつは化物か?さすがは”野獣と化した白銀で狂乱のバビルザ”の通り名を持つだけのことはあるぜ。いいか!てめえらは奴に近づくなよ。ヘタに近づいて死ぬんじゃねえぞ。こいつは俺が相手をする。」

ソフィア「貴様アアア!私をその妙な通り名で呼ぶなー!」

ミグノノたちは、ポカンと口をあけて、ソフィアとランヴォルドの壮絶な一騎打ちをしばし見守った。

ヨルド「...さあ、ミグノノ様、ロロタタ様。今のうちです。早くお逃げ下さい。」

ミグノノ「えっ?」

ヨルド「ここからまっすぐ西に進めば、ルーヴェンの港はすぐです。港から船に乗って、あなた方の故郷にお戻りください。ソフィア様があなた方をお城から連れ出したのは、はじめからそのつもりだったのですよ。」

ミグノノ「でも、いいんですか?貴方たちが後で酷い罰を受けるんじゃ。ボク一応、王様だし。」

ヨルド「それは大丈夫です。ソフィア様がすべての責めを負って下さいます。彼女はああ見えて、そういう方なのですよ。」

ロロタタ「まあ、さすがソフィアさん、立派な騎士ね。」

ミグノノ「ヨルドさん、ありがとう。今までお世話になりました。」

ヨルド「いえいえ、お気をつけて。またいつでもヴァルメルに遊びにいらしてください。ソフィア様もエミリー様も、あなた方のことが大好きなのですよ。」

ミグノノ達が一目散に走り始めると、後ろからソフィアの叫び声が聞こえてきた。

ソフィア「待てえええ!貴様、逃げるなー!貴様も王のはしくれなら、先頭にたって最後まで戦えー!少しはランヴォルドを見習えー!ミグノノオオオオオオ!」

ミグノノ達は振り返らず、まっすぐ走った。
それからしばらく走り続けると、すぐにルーヴェンの街が見えてきた。
近くで戦争しているというのに、ルーヴェンは穏やかだった。

ロロタタ「ミグノノはこれからどうするの?」

ミグノノ「そうだねえ。船にのるよ。」

ロロタタ「まあ!本国の指令に従って、いよいよ自由都市に行くのね!」

ミグノノ「ロロタタ、何を言ってるんだよ。オーク領に渡って、ミャルにお金を借りて、そのお金でナルポポに帰るのさ。」

ロロタタ「まあ!...それでこそミグノノね。」

オーク領行きの船に乗ると、今までの疲れがどっと出て、ミグノノ達はぐっすり眠ってしまった。

船長「えー、本日もご乗船ありがとうございます。この船は自由都市ネロ行き直行便です。しばしの船旅をお楽しみください。」

(つづく)

写真:”野獣と化した白銀で狂乱のバビルザ”の異名を持つ騎士ソフィア=バロウズ
(パーティーにいるバビルザの数に応じてHPがアップする)

島津豊久

コメント