島津豊久の旅日誌

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Episode 57「正気に戻ってくれ、クレア!(偽)」


Cross Story(偽)

クレア「はっ!...私は今までいったい何を?」

黒太子「ようやく洗脳が解けて正気に戻ったみたいだね、クレア。」

クレア「そうだ!こうしてはいられない!...一刻も早くヴァーミッド卿の企みをソフィア姉様にお伝えしないと!」

黒太子「行くのかい、クレア?僕としては、もう少し僕のために働いて欲しかったんだが。」

クレア「助けて頂いたのに申し訳ありません。このご恩は、いずれ必ず。」

黒太子「いいよ。行きなよ。きっとそれが君の物語だ。僕はこれからの君の物語に興味がある。」

*    *    *    *     *

スミロフ「おーい、ソフィア!またこのお嬢ちゃんがキャラバンに潜り込もうとしてたから、捕まえて縛り上げてやったぞ。」

クレア「んー!んー!んー!」

ソフィア「何?!...またクレアか。今度は何を企んでいるんだ?スミロフ、猿ぐつわを外してやってくれ。」

クレア「ソフィア姉様!私は正気です!姉様に、一刻も早く、ヴァーミッド卿の企みを...。」

ソフィア「クレア。可哀そうに。まだ洗脳されたままのようだな。もうその手にはのらんぞ。...スミロフ!また猿ぐつわをはめてくれ。」

クレア「んー!んー!んー!」

カラミティ「実は、最近読んだ文献に、ワコクの洗脳の秘術を解く方法を見つけたのだが、試してみるか?」

ソフィア「何?!それはまことか?是非頼む!」

カラミティ「よかろう。...それには、そこにいるタタリンの協力が必要になる。」

タタリン「えっ!あたし?」

カラミティ「タタリンのスキル”こんらん”は、言わば洗脳と同じ原理だ。」

ソフィア「それはそうかもしれないが、”こんらん”の効果はすぐに切れてしまうぞ。」

カラミティ「そこでだ。”こんらん”のスキルを使いながら、そのロッドをこの娘の後頭部に思い切り叩き込む。」

タタリン「ちょっと待って!このロッドは金属製で、ほとんど鈍器よ!そんなことしたら、この人が無事ではすまないわよ!」

クレア「んー!んー!んー!」

カラミティ「そこまでやらねば、ワコクの秘術は破れぬものなのだ。」

ソフィア「クレアのためだ。ひと思いにやってくれ。頼む、タタリン。」

タタリン「...しょうがないわね。どうなっても知らないわよ。」

クレア「んー!んー!んー!」

タタリン「オラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

カーーーーーーーーーーーーン!

クレア「痛ーッ!!!痛い!痛いです、姉様!どうか私の話を...。」

ソフィア「効いたのか?...さっきと言っていることが、あまり変わっていないようだが。」

カラミティ「ダメだな。力の入れ加減が足りなかったようだ。」

ソフィア「タタリン、もう一発頼む!今度はもっと思いっきりだ!」

カラミティ「もっと腰にひねりを加えて、魂を込めて打ち込むのだ。」

タタリン「しょうがないわね。」

ソフィア「ゆるせ、クレア。貴様のためだ。...スミロフ!暴れないようにしっかりおさえつけるんだ!」

クレア「んー!んー!んー!」

タタリン「オラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

カーーーーーーーーーーーーン!

カラミティ「...まだダメだな。今度は角度が浅かったようだ。」

ソフィア「しょうがないな。...タタリン、もう一発追加で頼む!」

その後、命からがらキャラバンから逃げ帰ったクレアは、黒太子のもとでキャラバンとソフィアに復讐を誓ったのだった。
クレアが仲間になるのは、まだ当分先のことだ。

(おしまい)

写真: カラミティが読んだ文献とは、温泉郷の道具屋で売られていた”週刊ニンジャになろう”だ。
創刊号は特別価格の5G。100号まで全部集めると"ミサクラの水着衣装"が完成するらしい。


島津豊久

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