あぼがどの旅日誌

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テセウスの船


1.よだれを垂らしながらぼーっとテレビ欄を見ていると、「テセウスの船」というドラマ?が放送されていることを発見した。どうやら原作ものらしいが、中身がどのようなものかは不明である。
 テセウスの船とは、あるモノの構成要素が置き替えられた場合にそのモノの同一性を肯定しうるか否か、という非常に有名なパラドックスの一つである。例えば、


ある優秀な木工職人が造った木造船Aがあるとする。この木造船Aを購入した男は、破損した箇所を同じ材質の木材を用いて補修し使い続け、子、孫へと引き継いでいった。しかし、ちょうど70年後の補修を終えた時点で、当初に木造船Aを構成していたすべての木材が補修のため新たに用意された木材に替わってしまった。はたしてこの木造船は70年前の木造船Aと同一と言えるだろうか。


という具合の話である。同一性を肯定する人否定する人それぞれあると思うが、派生パターンが絡むと話は更にややこしくなる。例えば、①補修のため取り外した木材を研磨して保存し、70年後それで新たに作った木造船がもう1個できたとしたら果たしてオリジナルの木造船Aはどちらだろうか。②補修に木材ではなくプラスチックをもちいてプラスチック船になった場合はどうか。あるいは、③船にジェットエンジンを付けて空を飛べるように改造されていたらどうか。などなど


2.話がややこしくなったのでもう少し卑近な例で考えたいと思う。


 仮にいまここに、「モーニング娘」という若い女性複数人からなるアイドルグループが誕生したとする。誕生から地道に活動を続け一世を風靡した彼女たちであったが、アイドルの宿命かな、一定の年齢に達した構成員はグループを離脱しなければならないという鉄のおきてがあった。紆余曲折あるなか、新規メンバーの加入と脱退を繰り返し、10年後、当初のオリジナルメンバーの全員が卒業してしまったこのアイドルグループは結成時のモーニング娘と同一といえるだろうか。


 アイドル業界はとんと疎いのだが、ドルオタ界隈には特定の構成員を熱心に応援する、いわゆる「推し」なる文化が存在するので、
①推しの〇〇ちゃんが卒業したからもうこのグループは終わりだよ派(否定派)
②新たな推しを見つけて変わらず応援するよ派(限定肯定派)
に分かれるのだろうか。
 いや、よく考えたら特定の構成員を推すのではなくグループ全体をざっくり応援する「箱推し」なる文化もあるので、
③構成員の変化に関係なく応援し続けるよ派(純肯定派)
も存在しうるのだろう。

3.よく耳にする話であるが、ソシャゲ業界は離職率が高い傾向にあるらしい。人の行き来があることそれ自体は好ましいことであるが、同一性の担保という点からは難しい問題もある。キャラストを作り上げたオリジナルメンバーも、ある者は離職し、ある者は部署やチーム替えによって離れ、キャラスト担当部門も当初とはすっかり様変わりしている可能性が高い。
 この場合、現在のキャラストは初期のキャラストと同一であるとは言い難いのかもしれない。しかし、キャラストは「みんなでつくる」を標榜しているゲームなので、必ずしも同一性を担保する必要はないような気もするのである。代わり映えがしないというのがゲームとして一番退屈なので、良きに転ぶにしろ悪しきに転ぶにしろ、環境の変化を楽しむ広い度量を持ちたいものである。もちろん限度はあるのだが。

4.当ギルド「黒猫の人たち」はギルドメンバーを2名募集中である。詳しくはマスターの下記日誌を参照のこと。なお、当ギルドであたまのおかしい構成員は私だけなので安心してほしい。
 https://masters.caravan-stories.com/posts/ozbcsxfv 

 あぼがどは、ギルメン勧誘に勤しむマスター・サブマスを応援しています。


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