~ある日のキャラバン内にて~
作業台で新しい洋服の構想を練り、黙々と筆を走らせているポロックス。
○○「...。(ジー)」
ポロ「(このディティールはパターンのデザインにマッチしているか?)...!! オデッシアじゃないか。何か用があるのかい?」
オデッシア「すみません。すごく集中されていたようなので、お声をかけて良いものか判断を決めかねておりました。」
ポロ「こんなのは暇つぶしさ。ただの落書きだよ。」
オデッシア「そうだったのですね!...あの、折り入ってお話があるのですが・・・。」
ポロ「なんだい??」
オデッシア「その...私の母からギュリアムよりお手紙をいただきまして、その内容は『外交を任された身として、いかなる時も品格を持ち、ギュリアムの顔として恥ずかしくのない立ち振る舞いを心掛けなさい。』とのことでした。」
ポロ「うーん、それで?」
オデッシア「その・・・今の私の身なりが少々『野性的』といいますか『アバンギャルド』とも言いますかー」
ポロ「(なんの話かだいたい読めてきた。)たしかになかなかインパクトの強い服だね。」
オデッシア「ですが!しかし!!」
突然のオデッシアの声に固まるポロ。
オデッシア「...皆様の旅に同行させてもらうにあたり、私も一層強くならなければ皆様の足を引っ張ってしまうことになります。そのため、私は今バロチチさんの魂から霊力を分けてもらうことで足りない魔力を補っているのです。そのためにはこのような毛皮に身を包むのが効率が良いと...。」
ポロ「...。(なるほど魔力を高めるために、ね。)」
オデッシア「そんな折、この手紙がお母様から届き早急に新しい装いをまとめてきちんと身なりを整えるようにと言われまして...。」
ポロ「んーつまり、この僕に新しい装いをデザインしてほしい・・・ということでいいのかな?」
オデッシア「いえっ! そんな!! あの! ...はい。」
ポロ「(レリオーラの件といい、お姫様というのはなんで身なりのことから何もかも窮屈なのだろう)はぁ...。」
ポロの様子を窺うオデッシア
オデッシア「そうですよね!突然こんなご依頼を引き受けてほしいなんて図々しいにもほどがありました!不快な思いをさせてしまって申し訳ありません!では、しつー」
ポロ「でも、その服装で出歩くことをお母さまから良しとされてはいないのだろ?」
オデッシア「...はい。」
ポロ「はぁ...。要望は『バロチチの霊力の供給を損なわず、お母さまにも認めてもらえる装い』なんだね?」
オデッシア「え?」
ポロ「だから、『バロチチの霊力がー』。」
オデッシア「あっいえ!そういうことではなく、...引き受けていただけるんですかっ?!」
ポロ「どちらにせよ、君は新しい装いがなければなにかと不都合なんだろ?」
オデッシア「はい...。」
ポロ「やれやれ。レリオーラの件に続いてまた駆り出されるとはね。」
オデッシア「お手数をかけて本当に申し訳ありません。」
ミリア「そんなこと気にしなくていいのよ!ポロもなんでそんなにひねくれた言い方するのかねぇ。依頼されたことはまんざらでもないくせにね(にやにや)。」
オデッシア「ミリアさん!?」
ポロ「ミリア、いつからっ!」
ミリア「最初っから最後まで~」
ポロ「っつ...。」
ミリア「オデッシアちゃんもキャラバンの仲間としてポロなんかに遠慮しなくてもいいんだからね?それに、オデッシアちゃんの話を聞いたそばからもう洋服のデザインで頭がいっぱいなんだか!ね?ポロ~?」
ポロ「ミリアっ!」
ミリア「それにギュリアムの国民にポロの仕立て屋としてのセンスを見せつけておくのも大事なことなんじゃないのー?ね!『エルフアバター』?」
エルフアバター「そう思う。」
ポロ「くっ!...(エルフアバターもいつから...)」
ミリア「オデッシアちゃんは、服を仕立ててもらう!ポロはオデッシアちゃんに服の宣伝をしてもらう!お互いにとっていい話でしょ?この世はギブ アンド テイクよー!ねっ!オデッシアちゃん!」
オデッシア「は、はい!精一杯宣伝させてもらいます!」
ミリア「ポロも中途半端な仕事してたら、ルヴイラの染物屋の名が泣くわよー?しっかりやんなさいよね!あっ!わたしは魔石を織り込んだ布の生地、まだ在庫があるか見てくるわね!行こうオデッシアちゃん!どんな色が似あうかなーーーーーーーーーっ!!」
ポロ「お、おいっ!まてっ...(まずはジャケットからだな...。)」
~#1 おわり~
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