アオバの旅日誌

公開

2020イエ島・春


イエ島。 
一昨年の夏にガオと出会ってから、
年をまたいで百合祭。 
そして去年の夏ときて、
来訪はこれで四度目になる。 
 
馴染みの顔も多い。 
食事屋に掃除屋、精霊たちに喧嘩好きたち。 
人間よりビーストが目立つ顔ぶれにも、
もう慣れた。 
 
皆再会を喜んでくれながらも、
いつも通り依頼事は尽きない。 
素材集め、“喋らない方の”ビースト退治、
クロミカン集め、 
強敵の討伐、クロミカン集め… 
 
島中を走り回っていると、
ひっそりとした洞窟に辿り着いた。 
 
殺気立つ野生のビーストを横目に、
探索を始めると、 
見覚えのあるシルエットが
洞窟の薄闇に浮かび上がった。 
 
木材と歯車の意匠、不気味な赤い発光… 
 
(…!) 
 
カラクリビーストだ。
去年の夏、雲丹黒屋がイエ島に持ち込んだ 
ワコク製の兵器。 
島の景観を破壊したカラクリたちの始末は、 
当の雲丹黒屋と島村屋がきちんとしてくれたはずだが… 
まだ残っていたらしい。 
 
ダンジョンで手を焼かされた
思い出がよみがえる。 
自分たちでは敵わない可能性もある。 
どうするべきか…と迷っていた矢先。 
 
「こんにちは!」 
 
元気な声が飛んできた。 
 
話せるとは思わなかった、と驚いていると、 
カラクリビーストはこちらへ寄って来る。 
 
__と、よく目を凝らせば、
その体に傷跡があった。 
まさか、と息を吞む。 
それは紛れもなく、自分が__
自分たちが付けたもの。 
 
思い出す。 
あの時、この手で看取った、 
このカラクリの名前は… 
 
 
 
 
「ん?おいらの名前、知ってるのか? 
どこかであったかな。 
おいら、昔のことを忘れちゃったみたいなんだ。ごめんよ。 
 
__まあ、見ての通りのカラクリだが、 
島のみんなのドゥシなのさ」 


アオバ

コメント

1

イアルの冒険者

ジェリンガム

ID: gehwm7gzcwz2

わぁぁぁぁんん!。・゜゜(ノД`)
また逢えたねぇ!キャラバンに乗せていきたいよぉ~!

2

アオバ

ID: zq5m33ggwx2z

>> 1
コメントありがとうございます!
また会えるとは思わなかった!
ほんとにいい子ですよね…連れて帰りたいですが、
島の皆のドゥシなので…我慢です。