※バストラルとマルバスも妄想小話です。
二次創作的な妄想と捏造がお嫌いな方にはお勧めしません。
バストラルとマルバスのストーリーイベント及び
イアルの歴史を踏まえてはあります。
https://masters.caravan-stories.com/posts/somqsrjy
一応こちらの続きみたいになってます。
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高い木の上で生い茂る葉に身を隠すようにして、バストラルはそれを見ていた。
見晴らしのいい草原の真ん中にキャラバンを止め、その周りで食事の準備をしているのが見える。キャラバンから薄く煙が昇り、風に乗って甘さを含んだパンの焼ける匂いが鼻に届く。
鳥の鳴く声が耳に届く、今の所見える範囲にこちらに敵意を向けるビーストの気配はない。
「……」
長閑だ。
こんなにゆっくりした時間を過ごすのはいつ以来だろうか。
ふとそんな事を考えていたら、下から声がした。
「バストラル、そこにいるんだろう」
視線を向けると、マルバスが木の下から手を振っていた。
「もう少しでご飯の時間だよ。アメリアちゃんが作ったパンとレーナちゃん達が作ったスープが冷めないうちに降りておいでよ」
「……」
オークとの一件以降、キャラバンの世話になりそこでかつての弟子と再会した。
自身の元から逃げ出した後、どこかで野垂れ死んだかと思っていた時期もあったが、弓の腕もあげ、生きていた事に少しだけ安堵した。
「バストラル、聞こえているんだろう」
「……聞こえている」
そう答え、バストラルは木の上から飛び降りた。
「行くよ」
「……」
自身より背の高い弟子をじっと見上げる。
「……どうかした?」
「……まだ、言ってなかったな」
そう言うと、マルバスは首を横に倒した。
何の事を言われているのかわからないような顔だ。
バストラルはじっとマルバスを見上げ、それから一度自身の持つ弓に目を向け、もう一度マルバスを見上げた。
「……しゃがめ」
「え?」
「しゃがめ」
もう一度そう言うと、マルバスは小さく眉を寄せた後、それでもバストラルの前にしゃがんだ。それでも、ヒューマンであるマルバスはドワーフであるバストラルより大きい。
少し見上げて目線があうくらいだ。
バストラルは手を伸ばして、ほんの少しだけ背伸びもして、マルバスの頭をぽんぽんと撫でた。
「!?」
素早く、しゃがんだままマルバスは器用にバストラルから距離を取る。よく見なくてもその顔が赤い。
「な……え……ちょっ、まっ……」
マルバスが逃げてしまったので、バストラルは宙に浮かせたままだった手を下ろす。
「……」
「いきなり、何するんだよ」
「……褒めただけだ」
マルバスは目を丸くして、それからさらにしゃがんだまま器用にバストラルから距離を取った。
それからバツが悪そうに視線をバストラルから逸らす。
「……ボクは、褒められるような事はしてないよ、何一つね」
「……」
「……父さんに、見限られるような事はしてたかもだけど」
そう言ってマルバスは顔を伏せてしまった。
「そうかも知れんが、弓矢の腕前は上がった。弓師としても矢師としても、そしてどんな敵をも射貫く腕を。それだけで十分だ」
「ドワーフ最強と言われたバストラルに褒められて、嬉しくないはず何てないのに、嬉しくない」
マルバスは一度息を吐いて、それからバストラルを見た。
「バストラル、ボクは君との約束を何一つ守ってないよ。弓の鍛錬だってサボってばかりで、矢を射る理由だって女の子を守りたいからだ。そんなボクを褒めるだなんて……」
「理由はどうあれ、お前は強くなった。『あの事』を覚えているか」
じっと、バストラルはマルバスを見つめている。
その瞳は、マルバスの嘘を全て見抜いているようにも見える。
「……」
嘘をついた所で、多分それは通用しない。そう思ってマルバスはほんの僅か、バストラルから視線を外した。
「……覚えてる。でも、ボクは納得なんかしてないから」
「……」
視界の端で、バストラルが小さく息を吐いたのが見えた。それは、安堵のため息だったのか、それとも諦めのため息だったのか。出きれば後者であって欲しいと、マルバスは思っていた。
「覚えているなら、それで構わん。俺の準備はいつでもできている」
「……」
「その為に俺は孤児であったお前を拾い育てた」
バストラルはマルバスに視線を向けることなく、キャラバンの方へと歩いて行ってしまった。
キュッと、マルバスは拳を強く握った。
いっその事突き放してくれればどんなに楽だったか。
そう思いながらバストラルの後を追い、その横を歩く。
視線は、向けない。
「……バストラル、キャラバンの皆には言ってないよね?」
「無論だ」
「なら、いいかな」
そう短く答えたマルバスはその顔に複雑そうな表情を浮かべた。
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含みを持たせるだけ持たせて特に明かしもしない小話でした。
というか
バストラルにマルバスの頭をぽんぽんさせたかった!!
身長差のある親子最高。
だから早くクロスストーリーを解放すると良いよ……
足が痺れない程度に、正座待機しておきます。
コメント
1
ヒナドリ
ID: 2fve8p9mc5mi
続きが、是非とも読みたいです。
シーンが頭の中に浮かんで来ました。スクリーンショットならぬ、ワンショットストーリーですね。
2
伽那樹
ID: 9i9jpemju9aj
>> 1
気が向いたら続きを書くかもですが、その時はよろしくお願いします。
ありがとうございましたm(_ _)m