ルキオンの旅日誌

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慢性的金欠。これは事件だ 3

ポワトト「僕の見たところ、どうやらまだ事件は終わっていないようだ」
フォルク「はぁ。確かに相変わらず金欠ではありますけどね」

「おや、メラ君は?
「急用ができたと言ってアンギラのところに向かいましたよ。僕は代理です(僕も暇ではないのですが)
「そうか。……ふむ。ふむ。ほう、いいね!
「何がですか?
「君のその雰囲気だよ! 一見すると知的っぽく見える丸眼鏡! 落ち着きがあるようでいて想定外の事態には弱そうな繊細さ! 主役たる探偵を引き立てるには最高の素材じゃないか!
「帰ってもいいですか
「医者というのもポイント高いよ! さぁ、もう事件は解決したも同然だ。では、次の容疑者のところに行こうじゃないか
「……まぁ、金欠の原因が横領だとしたら確かに問題ですし、少しだけ、付き合いますか

「やぁ、ロギオン
「おう、ポワトト。と、ぼやき眼鏡か
「フォルクです。(ぼやき眼鏡ってなんですか)
「ごきげんよう。早速だけどロギオン。最近調子はどうだい? ギャンブルで負けが込んで苦労したりしているのではないかな?
「あーん? そりゃお前さんじゃろうが。お前さんのおかげで儂はむしろ儲けが出ておるくらいじゃぞ
「……。
「……どういうことなのか説明してもらいましょうか
「おっ、聴きたいか小僧。そうじゃな、試しにこいつとババ抜きでもしてみい。必ず、『僕の推理によると、このカードこそがジョーカーで間違いない!』とか言い出す。そして、それが驚くほど外れる
「ええと、つまりカモにしているわけですか。というか、推理……?(直感でしょうそれは)
「カモになぞせんわ。ぼやかずに話は最後まで聞け。要するに、賭場でポワトトがベットしたところを外せば、勝率はポンと上がるわけよ
「それは……2択ならば確実に勝てるようになるわけですか?
「そんなうまい話があるかトーシロめ。Big&Smallだって引き分けなら負けになるじゃろうが
「喩えが全く分かりません
「賭け事というのは胴元が儲かるようにできておるんじゃよ。せいぜい2割の勝率が3割になる程度のもんよ。それでも儂が長年積み重ねてきた経験と勘で、掛け金を乗せるタイミングと額を見極めれば……
「わかった、わかりましたよ。もう結構です。ロギオンもシロということで
「シロ? なんのことじゃ

「ふん。己の金欠を理由に他人の横領を疑うなんぞ、実にしみったれた話じゃな。おまけに無実の儂を疑うとは、懐が寂しくなると精神もギスギスするもんかのう
「どうもすみませんでした。(日頃の行いでしょう)
「まぁ、彼も悪気があったわけではないのだ。許してやりたまえ
「えっ
「それよりロギオン。懐の温かい君にはさぞかし豊かな精神が宿っているのだろう。一つ僕らの助けになってはくれないかな
「ふむ。まぁポワトトに免じて、一つアドバイスでもくれてやろうか
「……(現金をくれればいいのに)

「ゴールドダンジョンで効率よく金塊を稼ぐコツを教えてやろう。まず編成について
 ① リーダーを幸運持ちにすること
 ② 敵は光属性なので、効果的な闇属性火力をそろえること
 ③ 可及的速やかに敵を殲滅できる構成にすること
「① と②はわかりやすいですが、③は具体的にどういうことですか?
「そこは自分で考えんか。陣形を前のめりにするとか、射程が長く溜めの短いスキル持ちを入れるとか。守銭奴オヤジの魔法で敵を一か所にまとめてから範囲スキルで殲滅するのがオススメじゃな
「守銭奴オヤジってヴィンガのことですか。確か彼も闇属性ですね
「それ以外のことだと、
 ④ 戦果確認と巡回は自動頼りにしないこと
 ⑤ 積極的に乱入すること
 ⑥ ただし人が多すぎるところはリポップが遅れるので避けること
 これらは経験値ダンジョンでも応用できるが、属性は真逆になるのが注意じゃな
「なるほどなるほど。勉強になるねぇ
「そう、ですね……。(博打狂なところを抜きにすれば優秀な人なんだよなぁ)
「聞こえておるぞ、ぼやき眼鏡。お前さんにはわからんじゃろうが、賭場の参加者が賭けているのは金だけではない。そこは即ち己の誇りと名誉を賭けて争う、知略を尽くした頭脳ゲームの世界!!
「ふっ……。そんなことを聞かされてしまっては僕も黙ってはいられませんね。いいでしょう、この灰色の脳細胞の冴えを皆さんにお披露目しに行くとしましょう!
「何をあっさり乗せられているんですか。これ以上はよしてください
「なんじゃ小僧。邪魔する気なら相手になるぞ。サイコロの出目で勝負と行くか
「ソフィアさんに言いつけますよ
「……。ふん、まぁ今日のところは勘弁しておいてやる。だから奴には黙っておけよ? 絶対じゃぞ?

「どうやら、事件はまた一歩解決に近づいたようだね
「どうですかね……。教えてもらったことは、多少は稼ぎの足しになるかもしれませんが
「ちっちっちっ、そうではないよ。僕の言う事件というのは金欠ではなく横領の話さ。気づかなかったかな? 先ほどの会話の中に大事なワードがあっただろう
「大事なワード? “ポワトトの直感は外れる”という話ですか
「違う、違うよ! それは忘れていい。そうではなく、“守銭奴オヤジ”というキーワードさ!
「ああ、次はヴィンガさんにあらぬ容疑をかけるんですか
「鋭いね。さすがは助手君。そう、我々はこの重要な人物を見落としていた! 彼へつながる糸こそが今回の最大の収穫、というわけさ。さあ前に進もうじゃないか!
「(……誰に代わってもらおうかな……)



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ルキオン

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