日誌を書くのは初めてですが、加入しているギルドの、これまでの私に対する仕打ちがあまりにもひどいので、この場をお借りして告白したいと思います。

まずギルドに加入するとすぐに、4種族のチュートリアルを早くクリアしろって言われました。
言われるがまま４種族クリアすると、有無を言わさず討滅というところに連れていかれたんです。
赤表示（自分より強いという目印）の敵に囲まれ、恐ろしくて何もできずに震えていると、早く宝箱を拾えって言われました。
わけもわからず宝箱を開けると、中身は見たことのないものばかりでした。
☆マークが３つついていたので貴重なのかも知れませんが、使い道がわからなければゴミと一緒です。
宝箱はとてもたくさんあったので、キャラバンがまだ育っていない私の倉庫はすぐにゴミでいっぱいになってしまいました。
その日から毎晩、私はゴミを拾いながら倉庫を整理しつづけるという、まるで奴隷のような生活を続けることになったのです。
でもこれはほんの序章でしかありませんでした。
その翌週、さらなる地獄を見ることになったのです。

その地獄とは、エニグマと呼ばれるものでした。
エニグマの意味さえ知らないのに、わけも分からず偉い人が集まる会議に出席させられたあと、突然私はキャラバンごと空に打ち上げられたのです。
気が付くとそこは、今まで見たこともない異形な怪物達がたくさんいる世界でした。
ギルドの人たちは、恐怖で震える私にその怪物と戦えって言ってきたんです。
怪物のBPがとても高かったので、私は震える声で「無理です」って答えました。
そしたら乱入してやるから戦えって言うんです。
逆らうことができない私は戦闘をはじめましたが、まだ初心者だった私のヒーローたちは次から次へ倒れていきました。
彼らはそんなこと気にも留めず、倒れるたびに編成を変えて戦闘を続けさせられました。
どう見ても私がいない方が効率よく倒せるのに、必ず私に戦闘に入るように要求してきたんです。
きっと彼らは、弱い私が倒れていくのを笑って見ていたんだと思います。
ひと通り戦闘が終わると、エニグマの爆発とともに、私は地上に打ち捨てられました。
もう、身も心もボロボロでした。
唯一の救いは、なぜかエニグマポイントというものが大量に手に入っていて、アニマに交換できたことでしょうか・・・

このようにギルマスやサブマスから私はひどい仕打ちを受けましたが、もっと恐ろしい人たちがギルドには存在しました。
ACEと呼ばれる人たちです。
どんなに強い敵に苦戦していても、彼らが来るとあっさり倒せてしまいました。
それくらいACEの人たちは恐ろしいほど強かったんです。
その中でも、特に私が恐怖を感じた出来事をお話ししたいと思います。

ある日ACEさんが、二人で新ゴルダンに行こうと誘ってきたんです。
新ゴルダンは、5分以内にすべての敵を倒さなければならない難易度の高いゴルダンです。
3人組で挑んで、ぎりぎり倒せるかどうかという高難易度のゴルダンなのに、私のようなビギナーを連れて二人きりでクリアできるはずがありません。
きっとゴルダンの中で、私は事故に見せかけて殺されるんだ・・・と思いました。
どちらにしろ私は拒否できないので、あきらめて二人でゴルダンに行きました。
そこで私はわが目を疑いました。
ACEさんは立ちはだかる岩の敵をまるで紙人形のように倒していき、なんと制限時間を1分以上も残してクリアしてしまったんです。
私は戦慄を覚えるとともに、一生かかっても超えられない壁を見ている気分でした。
そして私は、これが見せしめなんだと気が付きました。
ACEさんの背中は「分かってるわね？これからも私に逆らうんじゃないわよ」と無言で圧力をかけてきました・・・
５００個の大きな金塊の山とともに・・・

彼らは強いだけでなく、育成にも口を出してきます。
「あのキャラが使える」や「このスキルは必須だ」とか言ってくるんです。
もちろん私は逆らえません。
おかげで、可愛いキャラやイケメンだけ育てようと思っていた私の計画は台無しです。
ヴィンガやキール・デーンなどの髭おやじまで育てる破目になってしまいました。

こんなひどい仕打ちを受けているにもかかわらず、私はこのギルドをやめることができません。
おそらく、知らないうちに洗脳されてしまったんだと思います。
その証拠に、最近ではギルドイベントが更新されるたびに必死になってギルドポイントを稼ぐために走り回る身体にされてしまいました。
私はもう、このギルドで一生を終える道しか残されていないんだと思います。
私を救おうと他のギルドに誘ってくれたフレンドさん、ごめんなさい。
お母さん、お父さん、いままで育ててくれてありがとう。
私はしあわせです・・・たぶん

～　こころの妄想日誌　終　～

こころベーカリー