【お花見イベント　３０回繰返し戦闘クエスト「ハナミ」】

私はずっとここにいた。
人知れず、名も知れず…
暖かくなったら花を咲かせ、暑くなったら葉を茂らせて。
これからもずっと、ここにいる。

ある日、見知らぬ生き物がやってきた。
私の根元に腰を下ろし、飲んだり食べたり…
はじめはうっとおしいと思ったけど、笑顔でとても楽しそうだった…
たまにはいいかな…ずっと一人は寂しいから…
その生き物の言葉はわからなかったけど、私を見て「ハナミ」「ハナミ」と言っていた。
………私の名前？…ハナミ？


私が花を咲かせるたびに、その生き物はやってきた。
しかもどんどん数が増えていく。
みんなでたくさんおしゃべりするので、言葉もわかるようになってきた。
ヒューマンとかドワーフとかっていう、色々な種族がいるらしい。
「ハナミ」は私の名前ではなくて、私を見ながら飲み食いすることだとも知った。
飲んで食べて歌って踊って、とても楽しそう…私も一緒に混ぜてくれないかな…


今回はいつもと違った。
みんな怖い顔で怒っている。
喧嘩を始めた人たちもいる。
私が花を咲かせていないせい…

でも無理。
力が出ない。
栄養が足りない。
原因は分かってる…この悪い虫たちのせい。
退治して欲しいけど、みんなを危険にさらすわけにはいかない…

集まっている人の中に、強そうな人たちを見つけた。
あの人たちなら悪い虫を退治してくれるかな…
でも、私の話を信じてもらえるだろうか…
ううん、事実を話す必要はないかも。
感謝の気持ちにプレゼントを渡せば、退治くらいしてくれるかもしれない。

いままでここに来た人たちの忘れ物や落とし物がたくさんある。
その中から価値のありそうなものをプレゼントしよう。
とりあえず30匹退治してもらって…必要ならもっと…

前に酔っ払ったエルフの老人が言っていた。
樹齢数百年の樹木は、精霊力が増して人の姿で現れることがあるって。
私にもできるだろうか。
人の姿…人型に……えぃっ！

こころベーカリー