むかーしむかし、あるところに
イアルの旅を始めたばかりの一人の冒険者が居ました。
まだこの世界の勝手の分からないこの冒険者は、
幻魔石が溜まると中身も知らず宝箱を開けていました。
そんなある日のこと。
引き当てた武器はとても良いものでしたが、
使える人間が何故かどこにもいませんでした。
何故なのだろうと思いつつ、その武器は長く倉庫にしまわれておりました。
そんな冒険者も旅を始めて4か月が近づき、
ようやく件の武器の使用者が、旅では仲間にならない事を理解し、
ずっと彼が現れるのを待ちわびていました。
そうです。
その時がようやく巡り来たのです。
冒険者はこの時のためにと貯めていた石を開放し、
ようやくキャラバンに彼を迎えました。
その破壊力は凄まじく、
冒険者がなかなか突破できなかった難関を、
まるで襖でも破るように破壊していきます。
げに恐ろしき元属性、相手はまるで選びません。
これはいけない、と冒険者は思いました。
何でも出来そうな気がして、片っ端から難関に挑んでしまっています。
折角待ちわび、お迎えした彼がどんどん疲弊していきます。
いえ、疲れているのは冒険者の方でもありました。
冒険者は彼を連れて、
いつもの散策の旅に出ることにしました。
以前から気になっていた場所、普段は通り過ぎるところを立ち止まってみた場所。
じっくり眺めてみれば実に美しい景色の数々でした。
彼らの旅はまだまだ続きます。
それは戦いとは切っても切り離せない道のりとなることでしょう。
されど、たまに呆けたように空を見上げては、
何かに心揺らし、あるいは物思いに耽る、
そんな旅路となることでありましょう。
コメント
1
❁momo❁
ID: mqbi2tjeigmm
ロトンさん、小説家にでもなったのかと(笑)
2
ももみゅ
ID: esyc3zgapnq7
感動した!!( ;∀;)
続きはよ!