よお、俺はヴィンガ。
ブームにはちいっとうるさい、オシャレな豪商よ。

最近なんだか世間が騒がしくていけねえや。
お祭りムードのはずなのに、やいのやいのと、なんだかおかしな空気になっちまってる。このままじゃあいけねえ。

泣いてるがきんちょは笑顔にしねえとな。
ほれ、魔法で着色した、かわいらしいヒヨコなんてどうだ？
見てるだけでほのぼのするだろ？
人なつっこいのは、見てくれりゃあわかるよな。
こいつを連れて帰れば家じゅうハッピーってもんよ。

まあ1年くらいで魔法とけて色ももどっちまうんだが、その頃にはニワトリになってるだろうし、焼いて食うなり、タマゴ産ませるなり、目覚まし代わりにするなり、好きにしてくれ。

あん？　この赤いやつがケレンケンに二段進化するか教えろって？
そいつぁ言えねえな、俺様は夢を売ってるんだ。

そうなんでもかんでもバラしちまったら、夢がないだろ、な？



夢を売りだすってのはな、商売のなかでもとびきり難しいもんだ。

夢を売ったつもりが、買った奴を絶望させちまうことだってある。
買わない奴もまきこんで騒がせちまうことだってある。
それこそ世界の住民が一喜一憂しちまうからな。

だから、俺は鏡の巫女サマなんぞを売り出すよりも、リスクの少ねぇカラーヒヨコを売るって寸法よ。

──おら、いつまでもずっと見てんじゃねえよ、オマケつけてやるから、とっとと買えよ！
お前もぴよぴよでほのぼのになっちまえ！！




（※アイデア提供はフォドリックさんのコメントです、ありがとうございました）