「ここは…？」
目が覚めると、私は見たことの無い不気味なお屋敷の敷地に倒れていた。
「…」
何故こんな所にいるのだろう。そもそも気を失う前、私は何をしていたのだろう…。思い出せない。
「ｶﾞｻｯ…ｻﾞｻﾞｻﾞｯ…」
少し離れたところで物音がした。ここの住人だろうか…
「…？」
私はその物音がした方に行こうとしたが、ふと違和感に気づき足をとめた。
「生者ノ気配…何処ダ……」
どうやら、この世の者ではないらしい。手には大きな鎌を持ち、彼を取り巻くように 切り落とされたのであろう骸骨がグルグルと回っている。
「っ…、まずい…！」
具体的な場所は気づかれていないようだが、私がすぐそこにいることはバレている。それでも逃げなければ私も彼を取り巻くアレらのようになってしまう
「くっ…」
屋敷からの出口はすぐそこだ。が、その近くで彼がうろついている為正面突破は出来ない。
「とにかく、アイツがあそこを離れるまでどこかに隠れていなければ…っ」
私は大きな墓石の後ろに身を潜めた。大丈夫だ、気づかれてはいない…
「あの…」「ひぃっ?!」
不意に背後から声をかけられて、私は思わず素っ頓狂な声を出してしまう。アイツから目を逸らすのが怖いので、顔の向きはそのままに、声だけで後ろの声に話しかけた。
「な、なんでしょうか…？というか、貴女も危ないですよ、ほら、隠れて…。…、………」
言いながら、ふと寒気が走った。先程声をかけられた時に私は肩を叩かれたのだが、妙に冷たかったのを思い出す…
「…」
振り向いた時、私の後ろに立っていた少女は身体中ツギハギだらけの、血の気の無いメイド姿の化け物だった…
「いやぁぁぁぁあああｱ゛ｱ゛ｱ゛ｱ゛ｱ゛!!!!」

無我夢中で走った。後ろから彼女が追いかけてきているのだろうか…。わからない。冷静さを欠いた私は何も考えず逃げた。

…、……っ。

しまった……

私の目の前には、大きな鎌を持ち、仮面を付けた狂人が立っていた━━━━