アオバの旅日誌

公開

音楽の天使


(アルメイダル、モブ死ネタ)

痩せきった少年が、ベッドとすら呼べぬような粗末な寝台に寝ていた。

少年の息は荒く、肌は青ざめている。
それが死の床であることは誰の目にも明らかだった。

アルメイダルは一瞬、目を伏せる。

旅をしている中で出会うのは、
豊かで健康な人ばかりではない。

戦争、内乱、流行り病に貧困。
その全てがこの少年に降りかかったことも、致し方のないことだった。

少年の唯一の身内である老人に案内されて、アルメイダルは寝台のそばに膝をついた。

「天使、  さ    ま…?」

そう言った少年の声は、ひどく掠れている。
アルメイダルは携えていた水筒をとった。
楽聖の喉を保つため、できるだけ軟らかい良い水を備えているそれから、深皿の底に注ぎ入れる。

そして深皿から水を、ほんの少し滑らすように少年の口にあてがった。

囁きかけるように歌いながら。

はじめは懸命に水を啜ろうと努力していた少年だったが、次第にその動きはゆっくりとしたものとなる。
最後には、あやされながら乳を吸う幼子のような、穏やかなまどろみが少年の頬にあらわれていった。

いつものようにハープを持つことも、朗々と高く歌うこともなかった。

だが、音楽の天使の歌う<イアルのつたえうた>は、少年の耳にいつまでも、永遠に残ったのだった。



アオバ

コメント

1

初めての試み

そこに桃矢❀

ID: ee6an4skit46

Angel of Music(-人-)

2

アオバ

ID: zq5m33ggwx2z

>> 1
神聖アルメイダルちゃん(๑ーㅅー๑)

3

ビギナー

ロタス

ID: cxs5hxwi6pgt

なんて美しいアルメイダルさんなんだ……
素敵な絵をありがとうございます🥹🫰

4

アオバ

ID: zq5m33ggwx2z

>> 3
完璧で究極の吟遊詩人🙏🏻✨