ルキオンの旅日誌

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☆5万歳 オデッシア&カール

オデッシア「でも、キール様もドワーフ三賢人の一角という類まれな方ではございませんの」
カール「無駄に偉いのは認めるけどさ。どんなに立派な親でも、それをただ見上げているだけじゃダメだと思うんだ」



「子どもが親を超えることが、ゆくゆくはイアル全体の歴史への貢献だってね。言ってみれば、親を超えることが真の親孝行ってもんさ」
「まぁ。ふふっ、ではカール様はたいそう孝行な息子を目指しているのですね」
「えっ!? あー、そうなるのか……。まぁ、いずれ屍にしてでも乗り越えていくつもりさ。オデッシア姫もその気になったら協力は惜しまないからね!」
バロチチ「ぬかすではないか、小僧!」
「うわぁビックリした。えーと、バロチチさん?」
「おうよ! 男児たるもの、それくらいの意気がなければならんわ! 小僧、案外気骨があるな! それではさっそく協力してもらおうではないか」
「協力?」
「さっき言ったではないか、お嬢が親を超えるためなら協力は惜しまんと」
「いいけどさ、男児の意気がどうとかさっき」
「黙れ小僧。そんなことはどうでもいい。おい、ギュリアム王妃アッザリアとお嬢の大きな違いが判るか?」
「バロチチさんが憑いてること以外で? えーと、オッドアイ?」
「そこは触れんでよい。アッザリアにあってお嬢にないものがあるじゃろう」
「小じわ?」
「張り倒すぞボケカスが! 小じわの一本や二本、お嬢にだってふぐぅ!?」
「あっ(察し)」

「……お嬢だって歳を食えば自然と追いつくわそんなもん。そうじゃない。あの移動砲台じゃい」
「ははぁ。あの射程と威力は確かに脅威だね。本人も砲術家らしいし」
「さよう、お嬢がギュリアムひいては世界を統べるにあたって、あのアッザリア砲は避けては通れぬ壁よ。そこで貴様にはアレを超える超兵器を作ってもらいたい」
「突っ込みどころは山ほどあるけど、超兵器という単語にはロマンを感じるな……。いいよ、構想だけなら幸いストックがあるし」
「ほほう? 面白い、さっそく聞かせてもらおうか」
「まずは……光の波長を揃えて撃ち出すレーザービーム砲!」
「れーざーびーむ砲!? ……キリンが吐く奴か?」
「イメージは近いね。でも出力次第ではアッザリア砲の100倍以上の射程が出せるはずさ」
「何……だと……!? 凄まじいではないか、やるな小僧!」
「へへっ、そう? 魔法というより物理の刺突ダメージになるのかな。そりゃあもう、しゅわりと突き刺さる虹色のラブ〇ームさ!」
「却下じゃ却下!! なーにがラ〇ビームじゃこのクソタワケが! 次、次!」
「ダメ? それなら……重力波砲とかどうかな? 一発で宇宙戦艦すら沈める超威力だよ!」
「単語の意味が全く理解できんが、それはすごいのか?」
「真空を相転移することでエネルギーをチャージして撃ちだすんだ。別名をグラビティブラ……」
「それ個人機につけようとして自爆した奴じゃろうが! 却下だ却下却下! 次!」
「やけに詳しいね……ならいっそ波動〇とか」
「だからなんで戦艦の主砲を持ってくる」
「もっとすごいのだと地殻破壊兵器ベ〇クラントとか」
「……さては貴様、からかっておるな?」
「冗談だってば。でもそうだな、いっそ人型の個人機ってのは悪くないアイディアかも」
「ふむ? ガン〇ムか?」
「どっちかというとメ〇ルスラッグ?」
「なんでそっちが疑問形なんじゃ。しかしお嬢が人型兵器に乗る姿というのは想像しただけで滾るものがあるな」
「確かに……。姫様にバロチチさんが憑いてると考えるとずいぶん複雑な入れ子構造だけど」
「よろしい! ではよきに計らえ!」
「偉そうだなぁ」
「はぁ……。申し訳ありません」
「あ、今はオデッシア姫?」

「ええ。なんだかバロチチさんと、ずいぶん盛り上がっていたようですが」
「ははっ、幾つになっても男のロマンは共通なのさ。なんて言うと男児の意気とか言ってたバロチチさんみたいだね」
「まぁ。以前から思っていましたがバロチチさんとキール様は気質がよく似ておいでです。バロチチさんと仲良くできたなら、キール様ともきっと仲良くできるはずですわ」
「その話はまた今度聞くよ。それより、姫専用機体を作るから、素材集めを手伝ってもらえないかな」
「専用機体? の、素材、ですか?」
「移動砲台なら素材はドワーフボーンを、人型機ならオークゾンビ辺りを」
「申し訳ありませんが、却下させていただきます」

ルキオン

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