トールの旅日誌

公開

春ですね

この文章をアスガル団の吟遊詩人に捧げる



彼女(ここでは)を見つけたのはアルアリアにある図書館(旅日誌)だった。

見つけたといっても新人の吟遊詩人が投稿する書物のとある1頁に

たまたま目がいったというのが始まりでだった。

そのページに綴られている叙事詩はキラキラと輝き、

読むものを引き付けるとても魅力的なものでした。

吟遊詩人の彼女を調べるとどこの専属にもなっていなかったので

その詩を握りしめ彼女の獲得に図書館を飛び出した。

この世界の吟遊詩人には珍しく彼女の種族はオークなので、オーク領へ行くことに。

ガルドメの樹海郷で彼女の行き先を聞き出し、ようやく

ドガ要塞で怪我の療養をしている彼女達を見つけ、詩のこと、入団して

ほしい旨を早口で伝えることができた。

彼女は、初対面の僕の顔を見て、いきなりの勧誘にも驚かず、

「明日お伺いしますね」といって入団してくれた。

程なくして彼女がエルフ領ルヴイラの尾根でクワガタムシを元気に狩っている

姿を発見し声を掛けると、

彼女は「クワガタのムシあごが少し怖い」と明るい声で笑っていました。

僕は、植物採集をしていたので変わって上げられたらな、と思いながらも

「頑張ってるね」と声援を送ることしかできなかった。

最近のギルドホーム(掲示板・ギルチャ)は夜になると何人か集い、自分たちの

旅の報告をしあい、お互いに励ましあえる場として、そこからパーティーを組んで

強敵に立ち向かう集合場所として定着してき多と感じることができました。

団員でパーティーを組むときはギルドルームで観戦出来るようにギルチャを

使ってあーでもない、こーでもないとやっています。

彼女は、そんな光景を温かく、そして楽しそうに見つめてくれていました。

時には、自分も早く強くなりたいと…。


昨晩、彼女がギルドホームでみんながいるときに声を震わせていいました。

「環境の変化によって団を離れることになりました」

彼女もいろいろ考えての結果というのは充分わかるので強くは引き留める

ことがどうしても出来ません。

今ホームでは、彼女を送る温かい言葉につつまれています。

いつか彼女の詩が再び読める日が来ることを願ってやみません。


僕は一度、故郷のフォルカ村の実家に帰ってハシバミを植えて育てようと思います。


フォルアリア地方リセルカ平野にて

トール

コメント

1

ビギナー

はなたれ

ID: d386gczk38mc

人を惹きつける文を綴れると言うのは羨ましく、そして素晴らしい事だと思います…!
直接お話する機会はあまりありませんでしたが限られた中でもそのお人柄が良く伝わって来た気がします。
どうぞ別の世界でもいつまでも変わらず元気に過ごされますよう、この地よりお祈り申し上げます🙏

2

イアルの冒険者

トール

ID: r45h8kyftn32

>> 1
finさんありがとう。
今回の事は、結構きましたね。
でも、又会えそうな気もします。