エレノアの旅日誌

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同じ夢をみた、ある乙女の方へ


(なんだろう。この、ビルの屋上から飛び降りる手順を説明しているうちに、自分も発作的に飛び降りたくなる感。)

いろいろなことが起こる。それも、弱りきっているときに限って、立て続けに、同じ日に全てが一度に起こったりする。
心の操縦などはもうできず、表示される文章の意味すら分からず、とにかく自分がおかしくなっていることだけは分かり、焦燥感だけがひどく募っていく。
あの日のあなたも、(いまのわたしも、)そんなきもちで、SOSをささやいたのでしょうか。



  *  *  *



わたしも、ふらふらっとそういう衝動にかられることが、ほんとうに あるのだと、ここ数日、そしてまさに昨日、思い知りました。

手順説明用のスクショをとりながら、「ここでうっかりポチってしたら」と正直、思ってしまいました。 

今のわたしなら、あの日、あなたが叫んでいたときの気持ちがわかる、そう、実感しました。

私の場合は打ちのめされました。数日かけて、その瞬間をありありと、何回も夢想してしまいました。

それならいっそ自分から店じまいをしてしまおうとも思いました。

女の限界?脳の構造?業の深さ?エゴ?我の強さ?それまでの人生経験?どれだけの出会いを経てきたか?

そんなことを、31文字しか一度に打てないチャットで、

どう貴女に伝えればいいのでしょう。どう安心してもらえばいいのでしょう。

さわっただけで、もう壊れてしまいそうな貴女を、わたしはだきしめることもできず、

おねがいだから、ちょっとまってよぅ、と声をかけることしかできません。

すべてを切り替えて、前向きに進める気の利いた言葉など、到底おもいつけませんでした。

だから、貴女が、自分のお葬式を手順にしたがって、 ひっそりと済ませる覚悟を決めたことには、もう何も言いません。


エレノア

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